鶏卵生産におけるサルモネラ汚染防止について

「サルモネラ感染防止のマニュアル」

サルモネラ・エンテリティディス(SE)の特徴

サルモネラ・エンテリティディス(SE、和名は“腸炎菌”)がどんな性質を持っているのかを正しく理解しよう。

 サルモネラは自然界に広く分布しており、2,500種類以上の血清型が知られています。チフスを起こすチフス菌はサルモネラの仲間で、長く恐れられてきました。以前には日本の養鶏業界にとって大問題であった「ヒナ白痢」菌もサルモネラの一種です。
 いずれのサルモネラも大きさは1ミリの数百分の一で、基本的には菌体の周りに長いひげ(鞭毛)を持っており、泳ぐことができます。条件次第では30分に1回分裂して急速なスピードで増殖します。その中の一つの種類であるSEは見掛け上、他のサルモネラと全く変わりませんが、SEを原因菌とする鶏卵由来食中毒が1980年代後半から世界中で増加してきました。
 現在サルモネラ食中毒の60~70%がSEによるものです。好適な宿主はネズミであると考えられ、ヒナがSEに感染すると症状を示すことがありますが、親鶏は一般に無症状です。乾燥には強いのですが熱には弱く、70℃、1分で死滅します。
 では、なぜSEが最近になってタマゴ由来の食中毒を引き起こすようになったのでしょう。残念ながら未だよくわかっていません。SEがタマゴを汚染しやすい性質を持っているのなら、それを突き止めれば予防対策につながるはずです。



 
サルモネラ・エンテリティディス(SE)の特徴 SE食中毒が発生するメカニズムとその対策
鶏卵生産現場におけるSE汚染の仕組み 鶏卵生産におけるSE汚染防止対策:ワクチンのすすめ
おわりに 採卵鶏生産・衛生管理技術向上対策専門委員名簿

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