鶏卵生産におけるサルモネラ汚染防止について

「サルモネラ感染防止のマニュアル」


おわりに
 タマゴが安価で質の良いタンパク源であることは誰も疑いません。一方で、日本の消費者は食品の安全に非常に敏感に反応します。したがって、生産者が自信を持って安全なタマゴの生食を薦めるようになればタマゴの消費が伸びることは確実です。当然、消費者の代理人である小売業者は、生産者に畜産物の安全性の保証を求めます。
 これまで述べてきましたように、養鶏現場でのサルモネラ対策は、今のところ総合的な努力を続ける以外に方法はありません。今回の試験結果では、非ワクチン群にストレスを加えたときに極く低い率ですがタマゴの内容からSEが検出されました。これを養鶏場の規模に換算すればとんでもない数になります。ワクチンを接種することで少しでもこのような状態を回避できるとすれば、SEワクチンをサルモネラ対策の一つに組み込む時期に来ていると判断できます。今後、ワクチンの改良や、さらに有力な試験成績が出されると、早晩、消費者の意向を受けてスーパーマーケットから産卵鶏のSEワクチン接種が要求されることになるでしょう。
 日本養鶏協会でのアンケート調査によりますと、回答のあった199農場のうち32.7%の農場がサルモネラワクチンを取り入れているとの結果でした。ただし、ワクチンを購入していても規定の方法でワクチン接種をしないと効果が期待できないことは明らかです。ワクチン接種と同時に、鶏が十分な抗体を持っているかをチェックすることを推奨します。



参考資料:
採卵鶏農場におけるサルモネラ衛生対策指針(平成5年9月10日農林水産省畜産局衛生課長通知)
http://ss.niah.affrc.go.jp/sat/joseki/Houki/KADENHO/Salmonella_keiran.htm
鶏卵のサルモネラ総合対策指針(平成17年1月26日農林水産省消費・安全局畜産局衛生管理課長通知)
http://ss.niah.affrc.go.jp/sat/joseki/Houki/KADENHO/KeiranSal_TaisakuTuti.htm



 
サルモネラ・エンテリティディス(SE)の特徴 SE食中毒が発生するメカニズムとその対策
鶏卵生産現場におけるSE汚染の仕組み 鶏卵生産におけるSE汚染防止対策:ワクチンのすすめ
おわりに 採卵鶏生産・衛生管理技術向上対策専門委員名簿

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