サルモネラ食中毒問題について回答文の一例

平成18年7月21日

○○ 様
(社)日本養鶏協会
事 務 局

 前略
 メールにて本会へのご照会有り難うございます。
 新聞等の報道によりますと、4月初めから入院していた東大阪市内の女子児童が今月9日、サルモネラ症による急性脳症で死亡したとのことで、この原因として家庭で食べた生卵が疑われたとのことです。
 本会としても先ずは事実確認が重要とのことで、現在、同市にこの確認を求めているところであり、事実確認を踏まえて適切に対応していきたいと考えております。
 さて、ご参考までに今回問題とされているサルモネラ症についての基本的な要点を簡単に述べさせて頂きます。

1. サルモネラ菌は腸内細菌の一種であり、食中毒の原因として問題とされるのは約2,500種に及ぶサルモネラ菌全体の中の1つであるサルモネラ・エンテリティディス(S.e)が代表的なものであること。
 
2. サルモネラ菌をはじめとする細菌は一般に10℃以下の低温では増殖が困難であるため、一般食品と同様に冷蔵庫内(4℃)での保管が求められること。
 
3. サルモネラ菌(S.e)の汚染率は鶏卵では一般に約0.03%程度であり、極めて僅かでありますが、全くの汚染ゼロという訳ではないので、極力低温で保存されることが求められること。
 
4. 万が一、サルモネラ菌(S.e)が卵内に入っていたとしても、極めて僅かの菌数であるため実際に一般の方が感染・発症にまで至ることは稀であるとされること。
 
5. 従って、現実にサルモネラ菌(S.e)により発症に至る事例について考えられる要因としては、サルモネラ菌に汚染した卵を購入した場合であり、かつ、
外気温、室温に放置したことによる温度管理が不適切なため、一部の鶏卵の中に入っていたサルモネラ菌(S.e)が増殖し、感染量レベル(100~1,000個)にまで達していた
老人・幼児・病人等の体力が弱い人が食した場合
卵を割って撹拌(生のままで)し、半日~1日以上放置された場合
(この場合には、冷蔵庫内でも不可)
 
6. 【前記の意味】
サルモネラ菌の増殖には、栄養素として鉄分の存在が絶対的なものであり、この鉄分は卵黄内にのみ存在すること。
従って、卵内に万が一サルモネラ菌(S.e)が存在した状態で割卵し、撹拌し、放置した生卵を食することはサルモネラ感染症対策の面からは極めて危険な状態となること。
 

以上等をご参考に、引続き卵へのご理解とご賞味頂けることを祈念しております。 取急ぎ回答まで。

草々



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