鳥インフルエンザワクチン有効性について
平成17年9月8日
鳥インフルエンザワクチン有効性について
(社) 日本養鶏協会
1.学術的見解
(1)ワクチン接種鶏は非接種鶏に比較して、ウイルスの感受性は1/100に抑えられ、かつ、感染しても体外に排出されるウイルス量は1/1,000 ~ 1/10,000に抑えられる。これにより環境中へのウイルス排出量が減少するため、人感染ウイルス発現の機会を大幅に減少させることになる。(Dr.イラリア・カプア、OIE鳥インフルエンザレファレンスラボラトリー代表)
(2)鳥インフルエンザワクチンを接種した場合においてウイルスが人感染型に変異したとの報告はない。( 同 上 )
(3)野外ウイルスの侵入との鑑別法
DIVA※システムにより既に野外ウイルスとの鑑別法は開発されている。( 同 上 )
注: ①DIVA=Differentiating Infected from Vaccinated Animals
②例えば、H5N1の侵入に対してH5N9のワクチンを用い、Nの型の違いをIFA(間接螢光抗体法)により鑑別する。
2.ワクチンの有効性試験 ((独)動物衛生研究所試験の関係部分のみ抜粋)
(1)防禦効果
群名 |
死亡 |
ウイルス分離 |
||||
攻撃後 2 日目 |
攻撃後 4 日目 |
|||||
咽喉頭 |
クロアカ |
咽喉頭 |
クロアカ |
臓器 |
||
試験群 試験群予備 |
0/10 |
0/5 |
0/5 |
0/5 |
0/5 |
0/2 |
対照群 | 10/10 |
5/5 (2.5#) |
4/5 (1.4) |
1/1 (3.0) |
1/1 (1.5) |
※ ウイルス陽性羽数/検査羽数
# ウイルスが分離された鶏の平均ウイルス量(log10n/0.1mL)
(2)考察及び結論
① 以上の成績から、本ワクチンの2回目注射により高病原性AIVの攻撃に対し発症防御のみならず、感染も防御するほどの強い免疫を付与できると考えられた。
② 以上から、本ワクチンは高病原性AIVの感染に対して高い有効性が認められると結論される。
3.米国コネチカット州コフコフ農場のワクチン使用実例
(1)2003年2月27日に低病原性H7N2が発生したため、ワクチン(H7N3)の使用について連邦政府と州政府が協議。
(2)低病原性の鳥インフルエンザ対策(ワクチン使用又は殺処分方式の選択)は州政府に判断権がある。
(3)両手法の経費を比較(295万羽)すると
殺処分方式……………34,990千ドル(38.2億円)
ワクチン使用方式………7,502千ドル(8.2億円)
と殺処分方式が5倍近くの経費を要するため財源問題からワクチン使用による対策とした。
(4)2003年4月16日からワクチン接種を開始し、同年6月以降から現在までのウイルス検出はない。
なお、ワクチン接種には、6人×3チームの編成で6ヵ月を要した。