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卵の中に血液が混入した卵は俗に血玉と呼ばれ、品質の低いものとされています。小さい血塊は血斑(ブラッドスポット)といわれており、通常は卵黄に付着しています。このような血斑卵が生み出される理由に卵胞を走る血管分布の異常を直接の原因と考え、その構造異常に鶏の遺伝的特性が強くかかわっているという説が有力です。
卵巣には大小の卵胞がぶどうの房状についており、肝臓で作られた卵黄前駆物質が血流によって運ばれてきて逐次卵黄蓄積が行われ、成熟卵胞は卵胞茎の反対側にある破裂口(スチグマ)が裂けて卵黄が排出(排卵)されます。破裂口は、肉眼的には2ないし3mm幅の白っぽい帯で血管は極めて少なく、排卵時に出血しにくい構造のものです。しかし、時として排卵時に出血は起こるものであり、卵胞における血管の走り方が異常で破裂口が枝分かれしたり、うねったり、その他の不正形になっていたりして、排卵時に血管が破れやすい構造のもので多くみられます。このように破裂口が異常な卵胞の出現割合は、鶏の品種や系統によって差があります。また、大量の血液の混入には卵胞のみならず卵管からの出血も関係するといわれています。血斑卵の出現率は採卵鶏の銘柄により2~6%であり、卵殻色が白色か褐色かによる差はありませんが、遺伝的支配が強いため育種面から減らす努力が進められています。
血斑形成を促進する因子として、飼料の栄養面ではビタミンAの欠乏、ビタミンKの不足する飼料に対するアルファルファミールの多給、高蛋白質飼料の給与などの知見があり、また、ある種の鶏病にかかった時、産卵率の低い時よりも高い時、ケージ飼いよりも平飼いなどが血斑を多くするともいわれています。しかし、いずれも確定的なことではなく、どちらかというと特殊な飼育条件のもとでたまたま起こったことのように考えたほうがよさそうです。 |