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卵を割らないで外から鮮度が判定できることは極めて有用なことです。そこで、気室高法、比重法(食塩水法)、透視法(透光検卵)、卵殻の肌ざわりなどが考えられてきました。しかし、これらのいずれによっても、厳密な鮮度判定はできません。しいてあげるならば透過光を用いて内容物を透視する方法が比較的有効な方法です。すなわち、卵黄が卵の中心にあって卵を回転させても動きにくく、しかも卵白が濁っていて卵黄が見えにくいものが新鮮卵といえます。しかし、未熟な者にはこのような判断はむずかしいものです。
他の方法の欠点を述べてみましょう。気室高法や比重法は卵水分の蒸発の度合を流通保管期間の目安にして鮮度を推定しようとするものですが、水分の蒸発には外気温とともに湿度も関係し、しかも今日の鶏卵流通期間の範囲は2~7日程度ですから、市販鶏卵の鮮度の違いはもっぱら外気温の差にしたがうものであり、水分の蒸発から鮮度を判定することはできません。
むしろ、全卵比重は、産卵直後の値と卵殻卵重比や卵殻厚との相関が高いものですから、表1に示すように卵殻質の等級を分けるのに適しています。また、卵殻をおおっているクチクラ(約10μmの厚さの糖蛋白質被膜)は時間の経過とともに剥離しやすくなるといわれますが、もともと明確でない上に卵の包装が進歩して卵が他のものとこすり合わされることが少なくなったことと、洗卵によるクチクラの除去とがこの方法を全く無意味なものにしています。 |