鶏の原産地が卵殻色に関係している
卵殻の色が褐色あるいは赤褐色の卵は俗に赤玉と呼ばれて、白色卵殻のいわゆる白玉と区別されています。採卵専用種(採卵鶏)の仲間では、褐色羽毛の鶏が赤玉を産んで白色羽毛の鶏が白玉を産み、更には両者を交配したたとえば白色レグホーン(雄)とロードアイランドレッド(雌)との一代交雑種のロードホーンは、褐色と白色の混合羽装で薄赤玉とかピンク卵といわれる中間色の卵を産むので、羽毛色と卵殻色との間には密接な関係があると思われがちです。しかし、卵殻色素は鶏品種に固有のものであって、羽毛の色とはもともと無関係なのです。
元来、地中海沿岸地方の在来種は白玉を産むもようであり、白色レグホーンはもとより帯緑黒色羽毛のミノルカ、黒色羽毛と黒色の尖端に羽毛が混生したアンコナ、藍灰色羽毛のアンダルシャンなどは、皆白色を産むことで共通しています。
また、この地方原産の鶏は耳朶が白色のため、耳朶色と卵殻色には直接の関係があるとみられがちですが、そうとは限らず身近なところで尾長鶏や東天紅の卵は褐色系です。このように、地中海沿岸地方以外に由来した鶏はほとんど色のついた卵を産みます。
卵殻色は遺伝しますので、色合い、濃淡など消費者の嗜好に合うよう育種改良されています。
一般に、赤玉は白玉に比べ卵殻が強くて壊れにくいように考えられています。ところが、卵殻の厚みは赤玉よりも白玉の方がむしろ厚いのが普通です。しかし、卵を圧縮し続けて破壊するまでに耐えた荷重を比べてみますと、ほとんど同一の値になります。したがって、卵殻の組織構造にそれぞれの特徴があるのかもしれませんが、結局のところ強度は同じくらいと思われます。卵殻の厚みやその強度も遺伝形質なので改良が加えられています。