二黄卵の産まれるのが多いか少ないかは遺伝的な支配がある
卵の中に卵黄がふたつ含まれる二黄卵は、卵黄の占める割合が通常の卵の約1.5倍もあり、ひとつの卵で本当の目玉焼きができるとか、喜んで食される方もおられるようですが、一部には鶏に排卵誘発剤を投与して産ませたものではなかろうかと心配される向きもあるようです。しかし、心配は御無用、そのようなことはありませんから安心してお食べください。
二黄卵は産卵を開始してまもない時期に多く産まれるものです。卵巣に房状についている多数の卵胞の1個が破裂し排卵が起こりますと、その卵黄に卵白が付着し卵殻が形成されて放卵されるまでには原則として次の排卵は起こらないはずなのですが、産卵のリズムが安定していないもようのこの時期には、しばしば2個の卵黄が連続的に排卵されて卵の形成が行われてしまうのです。産卵初期には普通の卵は小さいので、二黄卵は簡単に見分けることができます。比較的産卵率の高い鶏において多くみられ、産み始めてから最初の1ヶ月間には産卵数の5%、次の1ヶ月間には3%に及びますが、以後は著しく少なくなります。二黄卵の遺伝率すなわち産出の寡多に関係するものの中で遺伝に影響される比率は0.40と推定されており、この遺伝率の数値はかなり高いものであるといえます。そこで、二黄卵をたくさん産む鶏を作出する試みもみられています。ただし、二黄卵は孵化しませんので種卵には通常の卵が用いられます。