今だからこそ、大切な”たまごのある食生活”

-今、私たちが、食生活で気をつけなければならないことは何ですか?

板倉 思いつくままに、たまご料理を並べてみてください。目玉焼き、たまご焼き、ゆでたまご、オムレツ、茶碗蒸し、それに、たまごかけご飯。ほら、こんなにいくつも、すぐに料理を思いつく食材はほかにありません。 たまごは、完全栄養食品に近いといわれるほど栄養価が高く、安価で、簡単に調理ができ、消化・吸収にも優れているので、赤ちゃんの離乳食からお年寄りのお食事まで、年代を超えてお召し上がりいただける素晴らしい食材です。 社団法人日本養鶏協会として、このかけがえのない食材を皆さまに見直していただき、これからの食生活を、“もっとおいしく、もっと健康に、もっと豊かに”という願いを込めて、「11月5日は、いいたまごの日」と「毎月5日は、たまごの日」という記念日を、関係業界団体と合同で制定することといたしました。 皆さまが、たまごを見直すことで毎日の食事や健康づくり、そして食生活全般を見直すきっかけになれば、とても幸せです。

-食品の機能性ということが、話題になっていますが?

板倉 生活習慣病などの予防・改善効果がある食品を機能性食品といいます。 レシチン、カロチノイドなどの機能性成分を含むたまごも機能性食品の一つです。  レシチンは、リン脂質という脂肪の一種で、血管壁に入り込んで動脈硬化を促進するLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を溶かす働きがあります。その結果、体内でのコレステロールの蓄積を押さえ、LDLコレステロール値を低下させ、動脈硬化を予防する効果が期待できます。  また、レシチンの構成成分であるコリンは、神経伝達物質「アセチルコリン」をつくります。アセチルコリンには、脳の記憶や情報を伝達する働きがあり、日常の脳の活性化には欠かせない物質です。またコリンは、認知症の予防と改善効果があることから、注目を集めています。  カロチノイドは、卵黄のあの鮮やかな黄色を出す脂溶性の色素です。からだを酸化させ、がんなどの生活習慣病の原因となる活性酸素を除去する強い抗酸化作用があり、動脈硬化や脂質異常症の予防や改善にも優れた働きをします。  生活習慣病のリスクを軽減するためにも、たまごのもつ機能性を意識した食生活を実践してほしいと思います。

-たまごとコレステロールについて、話題になりますが。

板倉 まず、コレステロールが私たちの健康の維持に欠かせない物質であることを知ってください。 私たちの体は、おおよそ60兆個もの細胞で構成されていますが、コレステロールは、その一つひとつの細胞をつくる細胞膜の材料であり、細胞を強くし、支えています。  また、私たちの体の機能を調整するホルモンの材料になり、さらに、食事からとり入れた脂肪などの消化吸収を助ける胆汁酸もコレステロールでつくられます。これらの細胞やホルモン、胆汁酸などは、毎日生産を繰り返しているので、その材料であるコレステロールも毎日補給しなければなりません。  コレステロールの1日の摂取基準値※3は、男性750mg未満、女性600mg未満ですが、この数値は少ないほど良いということを表しているわけではありません。他の食品からのコレステロールの摂取を考えても、1日1~2個のたまごはその範囲内です。 むしろ、コレステロールについての誤った知識で、このたまごという優れた食品を食卓から遠ざける弊害の方がはるかに大きいといえます。

※1 平成21年国民健康・栄養調査「肥満者の割合」より
※2 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2010年版)エネルギー必要量(女性18~29歳、身体活動レベルⅡ)より
※3 厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2010年版)「脂質」より

このページの先頭へ

前のページ