わが国の野生アライグマにおける高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスの感染

我が国におけるアライグマの分布状況(環境省調べ)


EP-4

わが国の野生アライグマにおける高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスの感染

○堀本泰介(1)、村上 晋(1)、河岡義裕(1)、前田 健(2)((1)東大・医科研・ウイルス感染、(2)山口大・農・獣医微生物)

【目的】
アライグマは、わが国で急速に野生化が進み、野鳥、畜産業、人と頻繁に接触する有害鳥獣であり、インフルエンザウイルスに感染することが最近報告された。野生のアライグマがH5N1ウイルスに感染していた可能性を調査した。

【方法】
西日本3地域、東日本1地域で、2005年以降に捕獲されたアライグマ988等の血清検体を用い、中和試験法などによりH5N1抗体を検索した。

【結果】
(1)3地域(西日本2、東日本1)の血清10検体からH5N1特異中和抗体を検出した。(2)各cladeのH5N1ウイルスを用いた抗原交差性試験により、西日本の陽性検体(2006年4・5月、2007年6月、2008年1月に捕獲)はclade 2.2ウイルス、東日本の陽性検体(2008年5・7月捕獲)はclade 2.3.2ウイルスの感染によることが強く示唆された。

【考察】
(1)陽性検体がみられた3地域のうち2地域は、これまでに家禽、野鳥での感染報告はない。(2)西日本の抗体陽性アライグマの捕獲時期から、clade 2.2ウイルスが宮崎県などで検出される1年近く前にはわが国に侵入していたと考えられる。(3)アライグマの食性・行動性から、人知れず感染死した渡り鳥(あるいは留鳥)の捕食により感染した可能性がある。(4)低い陽性検出率から、アライグマ間にはH5N1ウイルスの侵淫はないと考えられる。(5)養鶏場への感染源になる可能性から、野生動物の侵入防止対策を再確認すべきである。(6)野生動物の調査は、過去のウイルス侵入をモニターできる有効な手段である。(本研究は、野生動物団体・大学等の野生動物研究者との共同研究である。)




[ 別添1 ]我が国におけるアライグマの分布状況(環境省調べ)
[ 別添2 ]高病原性鳥インフルエンザの防疫の徹底を!!
[ 別添3 ]わが国の野生アライグマにおける高病原性H5N1鳥インフルエンザウイルスの感染

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