食料・農業・農村政策審議会家畜衛生部会
第26回家きん疾病小委員会の概要について

Ⅰ 2007年に発生した高病原性鳥インフルエンザの 感染経路について

 


高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チームがとりまとめた標記についての報告書が報告された。
報告書(別添概要)の要約は次のとおり(全文は、後日、農林水産省ホームページに 掲載する予定)


1.感染源・感染経路

(1)国内へのウイルスの侵入
 本年1月から2月に宮崎県及び岡山県で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、発生農場から分離されたウイルスは、鳥インフルエンザH5N1亜型ウイルスであり、①近年、中国、モンゴル、韓国において分離されたウイルス、②昨年末に韓国の野鳥から分離されたウイルス、③本年1月4日に熊本県で捕獲された野鳥のクマタカから分離されたウイルスといずれも相同性が高いことや海外の事例などから、国内へのウイルス侵入は、海外から渡り鳥により持ち込まれた可能性が想定。

(2)農場内へのウイルスの侵入
 発生農場における野鳥や野生生物の侵入防止対策は必ずしも十分ではなく、また農場内で初めに死亡鶏が確認された場所については、外部からのヒナの導入や人の作業動線との関連が確認されなかったことなどから、農場へのウイルスの侵入は、人為的な原因によるものではなく、野鳥や野生動物により持ち込まれた可能性が想定。

2.まとめ
 感染経路をさらに検討するためには、野鳥の継続的なモニタリングや早期の現地調査が必要。今後、養鶏場の発生予防対策をより確実に行うため、野生生物等の侵入防止対策の強化、養鶏場の飼養衛生管理の実施状況の再チェックを行うなど、バイオセキュリティ対策の徹底に関係者が一体となって取り組むことが重要。

Ⅱ 高病原性鳥インフルエンザに関する特定家畜伝染病防疫指針の変更について

 本年1月に発生した宮崎県及び岡山県における防疫対応を踏まえ、特定家畜伝染病防疫指針の変更について検討した結果、次の事項について、今後、パプリックコメントを行うとともに、都道府県及び関係団体等の意見も聞くこととされた。


(1)速やかな防疫措置の実施

・本年1月の発生時の運用を踏まえ、簡易キットにおいて陽性となった時点で公表し、隔離等の防疫措置を速やかに行うこととする

・現地防疫対策本部の体制を明確にすることで、発生農場の防疫措置と同時に周辺の農場の清浄性確認検査を行うなど防疫対応等の一層の迅速化を図ることとする。

(2) 交通規制等に係る警察との連携

・防疫対応を行う際の公道の交通規制・通行遮断などについては、都道府県警察にも連絡し協力を得ながら円滑かつ適切な防疫措置を図ることとする。

(3) 移動制限措置の運用の見直し

ア 移動制限区域内の食鳥処理場

・新たに設ける衛生条件を満たした場合に限り、ウイルス感染のおそれのない移動制限区域外の生きた鶏を搬入し、食鳥処理することができることとする。

・移動制限区域外で食鳥処理された食鳥肉(中抜きと体など)を搬入し、加工することが、可能であることを明確にする。

イ 移動制限区域内のふ卵場

・新たに設ける衛生条件を満たした場合に限り、ウイルス感染のおそれのない移動制限区域外で生産された種卵を搬入しふ化させ、そのヒナを移動制限区域外に移動することができることとする。

ウ 家きん卵の出荷検査方法

・移動制限区域内の農場で生産された食用の家きん卵を移動するために必要な家きん卵出荷監視検査に関しては、従来のPCR法に加えて、動物用医薬品として承認された診断薬による検査も可能とする

(4) 速やかな清浄性の確認

・発生農場の周辺にある農場の清浄性確認を速やかに行うため、ウイルス分離により患畜と決定された後は、発生農場の防疫措置の実施中であっても、直ちに清浄性確認検査を実施できることとする。


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