第3回高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム検討会(概要)
第3回高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム検討会
(概 要)
1.疫学調査、現地調査、ウイルスの性状検査等の実施状況について
● 事務局から、宮崎県日向市、新富町、岡山県高梁市における現地調査について報告された。
● 事務局及び宮崎県、岡山県担当者から、発生農場における人・資材・車両等の出入り、日常の消毒等の衛生措置状況等の疫学関連情報が報告された。
● 環境省担当者から、発生農場周辺での野鳥の生息状況調査、ウイルス保有状況調査の実施状況が報告された。
● 感染症研究所昆虫医科学部小林部長から、冬期活動性のオオクロバエが高病原性鳥インフルエンザウイルスの伝播にかかる役割に関する調査を実施していることが報告された。
● 西藤委員(動物衛生研究所)から、今回発生のあった4農場から分離したA型鳥インフルエンザウイルスは、いずれもH5N1亜型の強毒タイプであり、遺伝子性状からも近縁なウイルスであったこと、現在、鶏を用いた感受性(接種)試験を実施していることが報告された。
2.委員による議論の結果、以下の事項が整理された。
● 次のようなことから、わが国へのウイルスの持ち込みには、渡り鳥が関与している可能性があることが想定される。しかしながら、引き続き、韓国等の発生国における情報や環境省が実施している野鳥の糞からのウイルス分離調査結果などを収集・整理し、総合的に判断していくことが重要である。
・ 分離されたウイルスがいずれも近縁であり、中国、モンゴル、韓国等で分離されたウイルスと同じ系統であること。
・ 発生農場と海外の発生地域とを結びつける他の要因が見当たらないこと。
・ 発生農場間でウイルスが感染するような疫学的関連が認められないこと。
・ 短期間に宮崎県、岡山県といった広範地域で散発的に発生が見られたこと。
・ 発生農場の近隣で生息している野鳥の中には、いずれも渡り鳥が確認されていること。
● 2~4列目の発生鶏舎における人等の出入り口は一か所のみであったが、死亡鶏は鶏舎入り口から離れた一部の場所(2列目は鶏舎中央部、3・4例目は出入り口から離れた奥側)に固まって確認されていたことから、鶏舎内へのウイルスの持ち込みは、人による持ち込みの可能性よりも、野生生物(野鳥、ネズミなど)が関与している可能性があることが想定される。発生農場はいずれも一般的な衛生管理がへ実施されていたようだか、次の事項における実際の実施状況や実効性について引き続き調査する必要がある。
・ 農場や鶏舎の出入り口における消毒対策
・ 野鳥、ネズミなどの鶏舎内への侵入防止対策
・ 飼料、給水の汚染防止対策
● 野生生物の介在の可能性を明らかにする観点から、発生農場周辺の野生生物に関する調査や今回分離されたウイルスを用いて、アイガモ、マウス、ラットなどを用いた感受性(接種)試験を実施する必要がある。
2.今後の予定
引き続き、宮崎、岡山両県と連携し、発生農場における消毒対策、野鳥・ネズミ等の侵入防止対策、飼料、飲水の汚染防止対策の実施状況、実効性等についてさらに調査・検討していく。
また、ウイルスの性状検査を継続するとともに、韓国等海外での疫学調査に関する情報も収集していく。
鶏卵、鶏肉を食べることにより、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することは世界的にも報告されていません。(別紙 「鶏肉・鶏卵の安全性に関する食品安全委員会の考え方」参照)。
【問い合わせ先】
農林水産省消費・安全局動物衛生課
担当:小倉、星野
代表:03-3502-8111(内線 3008、3202)
直通:03-3502-8292