鳥インフルエンザ対策の充実・強化に関する要請

鳥インフルエンザ対策の充実・強化に関する要請

 



1.高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルスに弱毒型を設け、ウイルスが検出されない事例を「患畜」から除外することは制度上の矛盾であるばかりでなく本病撲滅の観点からも問題がある。
 家畜伝染病予防法(昭和26年、法律第166号)第2条に定める(法定)伝染病としての高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)及び同法第3条の2に基づく本病防疫指針においては、H、H亜型感染は全て高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)として「患畜」の扱いとされる。
 しかし、本病ウイルスの消長は1~2週間と極めて短く、鶏の感染時期及び検査時期の差によりウイルス有無の問題が生じる可能性があるため、ウイルス検査時期の違いにより「患畜」指定の有無に差を生ずることとなる。
 このため、弱毒型を設けること及びウイルスの有無により「患畜」指定に違いが生ずることは生産者間に大きな不公平感を生ずることとなるため、ウイルスが分離されない弱毒型を「患畜」から外すことには問題があるばかりでなく、抗体陽性農場を長期にわたって監視下に置くことは本病撲滅の観点からも危険である。



2.原案での農場監視プログラム創設は養鶏生産者の経営破綻に導くだけである。
 本病の弱毒型感染事例において監視鶏群とされた場合には、同法に基づく同一の法定伝染病に感染し防疫上の各種規制を受けても、殺処分手当金及び生産者互助金等を全く受けることができないため、感染農場の経営は完全に破綻状態となる。
  このため、ウイルスが検出されないことを理由に抗体陽性鶏群を監視下におくことは、本病ウイルス検出による殺処分(法令殺)事例以上の経営被害を受けることとなるため、現条件での農場監視プログラムを本病防疫指針内に設けることには極めて大きな問題がある。従って、監視下におく場合にあっては衛生管理の徹底と共に周辺農場を含めたリングワクチンを実施し、ローテーションに沿った廃鶏出荷及び若雌の再導入が可能となる措置を講ずること。



3.本病発生においては従前通り原則殺処分とすること。
 本病発生に伴ない、殺処分、移動制限、生産物出荷制限及び監視鶏群の設置等により、発生農場はもとより地域の養鶏生産者は極めて甚大な経営被害を受けることとなる。
 従って、ワクチンの予防的使用及び本病まん延防止対策としてのワクチン使用問題等、本病についての合理的な対処方法が早急に確立されることを強く要請するところであり、それまでの間、従前通り殺処分を原則とすべきである。



4.予定の家畜衛生部会の開催は当面延期すべきである。
前記1~3等の理由により、本病防疫指針の内容変更は養鶏生産者の経営継続に直接かつ甚大な影響を及ぼすこととなる。
 しかしながら、今般の本病防疫指針の改定・変更に当っては生産者団体側との事前協議等が全く行われておらず、このような状況下において来る11月28日に開催が予定される家畜衛生部会において、養鶏産業界にとってこのように重要な本病防疫指針内容の変更が審議・決定されることは極めて大きな問題である。

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