高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム中間報告書の概要

平成17年10月31日

高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム中間報告書の概要

 

高病原性鳥インフルエンザ感染経路究明チーム


1 発生の特徴

(1)発生農場の特徴
発生31農場はすべて採卵鶏農場。飼養衛生管理の程度については、厳重に管理されている農場から対策の不十分な農場まで種々のレベル。

(2)発生地域の特徴
  水海道市坂手地区・坂東地区の半径5km以内の地域と、小川町を中心とする半径10km以内の2か所の多発地域。これらの地域は国内有数の採卵鶏飼養地域で、付近に菅生沼、涸沼、霞ヶ浦等の湖沼が存在し、水禽類が生息。

(3)発生の時期
  原因がH亜型の弱毒タイプであり、感染鶏が特徴的な症状を示さないことから、初発農場の特定が困難。少なくとも5月中旬かそれ以前に初発農場へのウイルスの侵入があったと考えられるが、どの地区での発生が早かったかの推定は困難。

2 分離されたウイルスの特徴

(1)分離ウイルス株
  分離されたH亜型株の遺伝子は、2000~2002年にグアテマラで分離された株(97%)や2005年にメキシコで分離された株(94~95%)と相同性が高い。

(2)ウイルスの病原性と伝播力
  鶏に対する病原性は極めて低く、明瞭な症状も報告されていない。
  侵入時期が明確な8例目の鶏群間での抗体検査等から伝播力は強いと推察。

3 海外から国内への侵入経路

(1)野鳥(渡り鳥)を介した侵入の可能性
以下の理由から、この仮説の可能性は低い。
① 中米から日本に直接飛来する野鳥は知られておらず、またアラスカを介した伝播の可能性も極めて低い
② 分離ウイルス株は鶏に適応していると思われ、野鳥間で感染が繰り返されているとは考えられない

(2)輸入鳥類及び輸入家きん肉を介した侵入の可能性
以下の理由から、この仮説の可能性は低い。
① 本病発生国由来の生きた家きん類の輸入は停止されている
② 昨年2月以降、発生国由来の家きん以外の生きた鳥についても輸入が停止されている
③ 発生国産の生鮮鶏肉等の輸入が停止されている

(3)人等を介した侵入の可能性
  農場関係者が発生国等へ旅行した際にウイルスを持ち込んだ可能性については、更に調査を進める必要。
  以下の理由から、中米由来ウイルス株から作出された未承認ワクチン又はウイルスそのものが持ち込まれて不法に使用された可能性については、引き続き、関係国政府と連携して、中米等で分離されているウイルス遺伝子情報の収集を行い、その解明に努める必要。
① 分離ウイルス株の遺伝子が中米で分離された株と相同性が高い
② 日本の近隣諸国において、分離ウイルス株との近縁株による発生がみられていない
③ 発生が茨城県南部に限局しており、分離ウイルスの遺伝性状が同一
④ 渡り鳥による侵入の可能性が低い

4 農場間の伝播について

(1)発生の形態
  発生は、限られた地域内の多数の農場に及んでいるが、単一農場での発生が拡散したのか、複数農場で同時に発生し、他の農場に波及したのかは現時点では不明。

(2)鶏の移動による農場間伝播の可能性
  鶏が農場間を移動することによって伝播した可能性が高い例は2例認められるが、中古鶏の移動も含め、更に情報を集め検討を加える必要。

(3)鶏の移動以外での農場間伝播の可能性
  水海道市坂手地区における伝播は狭い地域に養鶏場が密集していることから、鶏の移動以外の方法で伝播したと推定。坂東地区への伝播(7例目)へは、鶏の移動はないことから、人、車両などにより伝播したと推定。
  小川地区においては、発生農場の鶏舎構造、立地条件等を比較しても飼養衛生環境はさまざまで、同じ地域内の同じ飼養衛生環境でも感染していない農場も多数存在。これまでの立入り調査等では発生農場間を明確に結びつける伝播経路は明らかになっていない。
  今後、人、車両、物による伝播の可能性について更に精査する必要。


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