全国一斉サーベイランス等の評価と今後の監視体制のあり方
(別添1)
全国一斉サーベイランス等の評価と今後の監視体制のあり方
1 全国一斉サーベイランス等の評価
(1)結 果
ア 茨城県
(ア)県中南部の6市町(水戸市、茨城町、美野里町、小川町、(旧)玉造町、(旧)石岡市)はすべての農場、その他の地域はすべての採卵鶏農場を対象に検査を実施(移動制限区域内については、すべての農場・鶏舎)。確認された30例以外はすべて陰性。
(イ)各事例の感染経路は、現在、その解明に努めているところであるが、
①1例目から7例目は、地理的な関連性が推察。
②8例目は9例目からの鶏の導入によるものと推察。
③9例目、11例目から31例目は、県中南部での事例。
特に、14~30例目は、小川町周辺で確認。
イ 埼玉県
県内の採卵鶏農場の6割以上を対象に検査を実施し、1例(10例目)確認されたのみ。
ウ その他の都道府県
福島県、栃木県、群馬県及び千葉県は、県内の採卵鶏農場の6割以上、その他の都道府県は3割以上を対象に検査を実施し、すべて陰性。
(2)評 価
ア 全国一斉サーベイランスの目的は、明確な臨床症状をもたらさない弱毒タイプのウイルスの浸潤状況を把握するもの。この結果、事例は茨城県中南部及び西部の一部に限局し、全国にまん延している状況ではないものと推察。
イ 本病の検査方法のうち血清抗体検査については、A型インフルエンザウイルスに共通した抗原に対する抗体を検出可能な寒天ゲル内沈降反応が有効。また、特定のウイルスに対する抗体を検出する場合には、分離株を用いるHI試験も有効。
2 今後の監視体制にあり方
今般の一連の事例(弱毒タイプ)を踏まえ、今後の本病対策に万全を期すため、以下による監視体制の強化が必要。
(1)モニタリングの強化
明確な臨床症状をもたらさない場合も想定し、全国一斉サーベイランスの手法も踏まえ、現行のモニタリング(毎月1家畜保健衛生所当たり1農場のモニタリング)に加え、以下のように監視体制を強化。
ア 検査対象
(ア)農 場
少なくとも1年に1回、都道府県内のすべての採卵鶏農場(飼養羽数1,000羽以上の農場)の検査を実施。毎月、地域に偏りのないよう実施。
なお、全国一斉サーベイランスで検査対象とならなかった農場から優先して検査を実施。また、この検査での家畜防疫員による立入りの機会を活用し、飼養衛生管理基準の遵守状況を確認し、必要に応じて、助言・指導。
(イ)検体数
1農場当たり10羽以上。
イ 検査週齢
6週齢以上とし、より日齢の進んだ鶏。
ウ 検査方法
臨床検査及び寒天ゲル内沈降反応による血清抗体検査。ただし、血清抗体検査で陽性が疑われる場合には、動物衛生課に連絡の上、直ちにウイルス分離検査を実施。
(2)早期通報の再徹底
飼養者等が異常鶏を発見した際の家畜保健衛生所への早期通報が最も重要。国内外における本病の発生状況を踏まえ、飼養者等に対して家畜伝染病予防法第52条に基づき、今年度の報告徴求を実施。
ア 報告徴求の対象
鶏、あひる、うずら及び七面鳥の農場(飼養羽数1,000羽以上の農場)。
イ 報告徴求の対象
(ア)通常の死亡率と異なる等本病の可能性を否定できない事態が生じた場合には、直ちにその旨を報告すること。
(イ)毎月1回、死亡羽数等の状況を報告すること。