鳥インフルエンザ対策に関する緊急決議

農林水産省 消費・安全局
中川 坦 局長 殿


鳥インフルエンザ対策に関する
緊 急 決 議
平成17年8月31日
日本鶏卵生産者協会
会 長 梅原宏保
社団法人 日本養鶏協会
会 長 梅原宏保
 
今後の鳥インフルエンザ対策に関する緊急決議


 日本最大の採卵鶏密集地帯の茨城県で6月下旬に発生した鶏インフルエンザは、その後も拡大の一途を辿り、8月下旬には本病抗体等確認農場数は15件、汚染羽数は300万羽に近づいている。しかし、未だ感染源及びその感染経路も明らかになっていないことから、全国の養鶏生産者は恐怖におののく毎日を過ごしている。
 我々生産者団体は不十分なサーベランスと、殺処分を中心とする現在の防疫指針では、養鶏密集地帯で発生する可能性は極めて高く、一度発生した場合には現実的には感染の拡大を防ぐことが不可能であることをかねてより繰り返し行政当局に指摘してきたが改正されずに今日に至っている。
 しかし、事態は残念ながらまさに我々が予め警告していた通りの推移を辿っている。
 また、国はこれまで抗体陽性のみの農場の鶏についても「ウイルスの存在は否定できない」としてすべて殺処分してきたが、この度200万羽超規模の農場で発生するや、ウインドゥレス鶏舎についてはウイルスが容易に拡散しない鶏舎構造であることを理由に抗体陽性のみのウインドゥレス鶏舎については殺処分しないと決定し公表した。
 このことは事前に生産者団体等との事前協議が全くないままの運用による防疫指針の重大な変更である。
 またウインドゥレス鶏舎が感染拡大の恐れは低いとの科学的根拠も全く示されないことから、「大規模養鶏ならば殺処分されないのか」、「開放鶏舎への根拠なき差別である」、「ウインドゥレス鶏舎が安全であるというならば、なぜそのウインドゥレス鶏舎で発生したのか」など全国の生産者から極めて強い反発が本会等に寄せられている。
 鶏インフルエンザをめぐるこのような危機的状況に際し本日、日本養鶏協会傘下の各県養鶏協会及び中央団体会員は緊急に集い、今後の本病に対する対策を協議した結果、満場一致で下記の対策を国に要請することを決議するものである。


平成17年8月26日
鶏インフルエンザ問題に係わる
各県養鶏協会・中央団体会員緊急打ち合わせ会議




1.  我が国はすでに鳥インフルエンザ汚染国であるとの認識の下に、現在の本病防疫指針は早急に変更し、発生の危険性が高い養鶏密集地帯、及び大規模養鶏を中心としたワクチンの予防的使用に踏み切ること。
 特に茨城県の大規模発生地区においてはこれ以上の感染拡大を防ぐため現在の備蓄ワクチンを即時使用すること。
2.  予防的ワクチンの使用が認められていない現状では、ウイルス拡散の危険性を回避するため、ウインドゥレス鶏舎、開放鶏舎を問わず抗体陽性のみの場合でも従前の殺処分の原則を堅持すること。
 もし抗体陽性鶏の早急な殺処分が物理的に不可能な場合にあっては、当面以下の処置を講ずること。
(1) 抗体陽性の全鶏舎については1鶏舎当たり100羽からのウイルス分離検査(咽喉頭、クロアカ、脾臓など)を直ちに行い、以後毎週各鶏舎30羽のウイルス分離検査を行い、ウイルスが分離された場合にあっては直ちに農場全体の殺処分とすること。
(2) 完全な清浄性が確認されるまでは新たなヒナの導入は行わないこと。
(3) 汚染農場の鶏糞の移動制限区域外への搬出は絶対に行わないこと。
(4) 発生農場の廃鶏はすべて焼却処分とすること。
3.  冬の本格的発生シーズンを2~3ヵ月後に控え、鶏インフルエンザの全国的汚染状況を早急かつ正確に把握することが、今後の防疫対策上極めて重要である。現在、全国一斉サーベランスで用いられているゲル内沈降反応による検査は精度が低いことから、エライザー検査とHIテスト併用による方法に変更し、早急に検査を完了すること。
 また、検査対象は全国、全戸、全棟検査とすること。さらに血液採取にあたっては、家畜保健所が直接農場に立ち入り、自らの監視下での採血とすること。
4.  今回の鶏インフルエンザの感染源、及び感染経路については早急に究明すること。
5.  移動制限に伴う鶏卵の出荷制限については、迅速な清浄性確認により24時間以内の出荷再開を可能にすること。
6.  国は被害生産者の経営救済、流通の混乱や風評被害の防止などに万全の対策を講じること。特に家畜防疫互助事業の鶏用財源に対して十分な額を確保すること。


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