全国生産者集会における特別決議について

平成16年3月18日


I. 高病原性鳥インフルエンザ対策強化等に関する特別決議
   今般の高病原性鳥インフルエンザ発生問題については、山口県下、大分県下、更には京都府下と連続的に発生し、これまでは感染しないとされてきたカラスからも本病ウイルスが検出されるなどにより全国の養鶏生産者は次ぎの発生が自分の経営にも及ぶのではないかと極めて切迫した状況にある。
 また、風評被害等も加わり鶏卵・鶏肉の生産流通には極めて大きな影響・被害が発生し、我が国養鶏産業は危機的状況に突入しつつあり、全国の養鶏生産者は早急にこの具体的な対応が緊要となっている。
 このため、本日の全国集会において、本病対策の強化を図るため以下について国等の関係機関に対して強力な働きかけを行うこととする。


1. 鳥インフルエンザワクチンの早急な使用承認について
   鳥インフルエンザについては、海外において既に優れた不活化ワクチンが開発されています。
 モニター鶏をワクチン接種鶏群中に混飼させることにより、野外ウイルス侵入の早期発見は十分可能であります。
 また、ワクチン接種鶏群は万が一野外ウイルスに感染しても、ウイルス排出量を大幅に減らすことができ、むしろ伝染病のまん延防止効果が期待できます。
 以上のことよりワクチンの早急な使用を承認し、今秋の発生に備え少なくとも5千万羽分の備蓄をするようお願いします。
   
2. 移動制限区域指定に関する更なる弾力的な運用について
   発生時における移動制限区域(見直しにより半径30kmから10kmに縮減)の適用は地域の養鶏産業に極めて甚大なる影響を与えます。
 このため、発生地域における養鶏産業等の実態に即した運用が可能となるように、防疫マニュアルの更なる見直しをお願いします。
 特に(1)移動制限の弾力的運用、(2)鶏卵等の出荷規制の対象の範囲、等については重点的な検討が必要であります。
   
3. 鳥インフルエンザ生産者互助基金に対する支援について
   生産者の互助基金加入は金融機関に対する信用面においても極めて重要な役割を果すものとなります。このため、鳥インフルエンザについても既に牛、豚において実施されている家畜防疫互助基金と同様の取り扱いをお願いします。
   
4. 鳥インフルエンザ発生被害に対する補償等の実施について
   鳥インフルエンザの発生においては風評被害も加わり養鶏関係者は極めて甚大な経営被害を受けることになります。
 このため、(1)移動制限による出荷等規制に伴なう経済的損失及び、(2)本病発生に伴なう風評被害による経済的被害により生ずる実損についての迅速かつ十分な補償、及び緊急融資については国の全額信用保証を付けるよう配慮願います。
   
平成16年3月18日
    鳥インフルエンザ緊急対策実現全国生産者集会

以上、決議する。


II. 申し合わせ決議
   アジア各地にまん延する鳥インフルエンザは、日本国内において山口、大分、京都、大阪と不気味な拡がりをみせつつあり、感染ルートが解明されない中で日本中いつどこで発生してもおかしくない現況にある。一旦鳥インフルエンザが発生した場合には発生養鶏場はもとより県内の鶏卵は移動制限区域内外を問わず販売困難となり、滞貨した鶏卵は庭先に山をなし生産者は悲痛な叫びをあげている。また、この影響は飼料、ヒナ、鶏卵問屋、食鶏処理などの関連業界にも大きな打撃を与えている。
 同時に全国的にも鶏卵への風評被害は深刻化しつつあり、消費は減退し鶏卵相場は戦後始まって以来の低迷を続けている。もし今後、茨城、千葉、愛知、鹿児島などの養鶏密集地帯の大型養鶏場に鳥インフルエンザが発生すれば社会的パニックが起き、消費者の鶏卵離れは決定的となることが強く懸念される。今まさに日本の養鶏産業は崩壊の危機に直面しているといえる。
 このときにあたり、全国の養鶏生産者・関係者は急遽上京して生産者集会を開き、現在養鶏生産者及び産業が陥っている窮状を広く訴えると共に、その意志を結集して政府・与党にワクチンの早期使用承認、被害生産者の経営救済、風評被害の沈静化など養鶏産業存続のための各種施策を早急に講じることを要請する一大運動を展開することとした。
 我々はこの集会を契機として、今後も粘り強く運動を続け、鶏卵の自給率95%、1人当たり消費330個という日本が誇る養鶏産業を守り発展させ、今後も国民に安全・安心の鶏卵を供給し続けることを申し合わせ決議する。
   
平成16年3月18日
    鳥インフルエンザ緊急対策実現全国生産者集会参加者一同


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