自民党鳥インフルエンザ対策本部の決定事項について(案)
自民党鳥インフルエンザ対策本部の決定事項について(案)
平成16年3月10日
自民党鳥インフルエンザ対策本部
我が国を襲っている鳥インフルエンザは食の安全・安心の観点から極めて重要な問題であり、その解決は喫緊の課題となっている。このため、我が党においては鳥インフルエンザ対策本部を設置し、鋭意、検討を行ってきたが左記のとおり対策を取りまとめたので、政府においてはこれを緊急かつ速やかに実現するよう強く申し入れる。
記
1. | 早期通報体制の確立 鳥インフルエンザのまん延を防止し、その根絶を図るためには、早期通報に基づいて的確な防疫措置を講ずることが最も重要である。このような観点から、家畜伝染病予防法第52条に基づき、1,000羽以上の養鶏農家に対して、感染が疑わしい事例を直ちに報告すること及び死亡羽数等を定期的に報告することを求めること。 また、1,000羽未満の養鶏農家、ペットとしての飼養者等に対して早期通報の必要性を徹底するとともに、死亡した野鳥の取扱いに関する注意事項の周知徹底を図ること。 さらに、今通常国会において家畜伝染病予防法の改正を行い、通報義務違反に関するペナルティの強化を図ること。 |
2. | 移動制限措置に関連した救済措置の制度化 関係農家の協力の下に移動制限措置をより的確に実施する観点から、今通常国会において家畜伝染病予防法の改正を行い、移動制限命令に協力した養鶏農家に対する救済措置の制度化を図ること。なお、制度化されるまでの間も、国による緊急救済措置を確実に実施することとし、そのための救済基準をすみやかに策定すること。 |
3. | 経営安定対策の充実 養鶏農家のみならず、外食事業者や小売店等へも影響が出ている状況に対応するため、発生農家の経営再開や、移動制限等により影響を受けた農家、移動制限地域外の農家の経営継続を支援するとともに、関連する中小企業や中堅外食業者を支援するための融資・保証措置の充実を図ること。 |
4. | 風評被害対策の推進 国民が無用な不安を招くことのないよう、食品安全委員会を中心に、厚生労働省、農林水産省等関係省庁が連携し、鶏肉・鶏卵等の食品としての安全性について、政府広報等多様な媒体を活用して広く正確な情報をすみやかに提供すること。 また、文部科学省においては、関係省庁と連携しつつ、学校で無用の混乱が生じることのないよう、指導等を徹底すること。 |
5. | 鳥インフルエンザ・ワクチン使用の方針の明確化 食品安全委員会において、鳥インフルエンザ・ワクチンの接種に係る鶏肉・鶏卵等の食品としての安全性評価について3月中に方向性を明確にすること。また、薬事法に基づくワクチンの製造・輸入承認については、実験施設内におけるワクチン接種試験の実施、ワクチン開発への協力や承認手続の迅速化を行うこと。 |
6. | 感染経路の究明 科学技術振興調整費による緊急調査研究等によって、関係省庁の連携の下に野鳥の生息調査や捕獲による検体の採取を進めるほか、ウイルスの解析等を進めるとともに、農林水産省に専門家による「感染経路究明チーム」を直ちに設置し、これまでの発生事例について感染経路の究明を行うこと。 |
7. | 人への感染防止対策の早期確立 厚生労働省は、鳥インフルエンザウイルス感染を疑う患者が発生した場合の報告等のサーベイランス(監視体制)を整備するとともに、人に強い感染力を持つ新型ウイルスの万が一の発生に備え、ワクチンの研究開発の促進及び特許等製造にかかる問題の解決、感染した場合の治療として有効とされている抗ウイルス薬(リン酸オセルタミビル)の備蓄、新型ウイルス発生時の速やかな指定感染症への指定について検討すること。 |
8. | 防疫体制の強化 鳥インフルエンザ発生地域の自治体は、感染した大量の鶏の処分や消毒作業等に追われている。このような状況に対応して的確な防疫措置を講ずるため、農林水産省をはじめ関係省庁の連携の下に専門家の現地派遣等最大限の支援を行うとともに、消毒作業や埋却・焼却に必要な場所・施設等の確保およびこれら作業に従事する人の安全確保について万全を期すること。この際、要すれば自衛隊の協力をあおぐこととする。 また、早期に防疫マニュアルを改正し、防疫上の安全性が確保されることを前提として、移動制限期間の短縮や保管、焼却等のための家きん卵の移動、十分に加熱処理された鶏糞の移動等を認めること。 さらに、海外からのウイルスの侵入防止を図るため、靴底消毒への協力を求めるなど空港等における検疫を徹底するとともに、カラス等の野鳥の侵入防止を図るウインドレス鶏舎を整備するための助成措置を講ずること。 |