鳥インフルエンザワクチン使用についての考え方

平成16年3月9日

鳥インフルエンザワクチン使用についての考え方

社団法人 日本養鶏協会
日本鶏卵生産者協会

1. 高病原性鳥インフルエンザ発生状況に関する現状認識
   山口県下、大分県下、京都府下と連続的に鳥インフルエンザが発生するとともに、京都府下にあっては、(有)浅田農産船内農場から約5kmの高田養鶏場においては船内農場の二次感染と推測される感染事例が発生した。
 以上のウイルス型は病性鑑定の結果、全て高病原性鳥インフルエンザであるH5N1と判定されていることから、本病は点から面的な拡がりの状態に入ったとの理解。今後、他地域における発生も十分に予想されるため、今後の展開については予断を許さない厳しい状況。
   
2. ワクチン使用についての見解
 
(1) ワクチン接種鶏群中にワクチン非接種のモニター鶏を混飼し、これを定期的に検査することにより十分に本病の早期発見は可能である。
(2) ウイルスの突然変異による新型ウイルス出現頻度は、ウイルスの絶対量に関係する。国際的学術文献においてもワクチン接種により感染ウイルスの排出量はワクチン非接種の場合に比べて99%以上削減することが可能とされており、むしろワクチン接種により新型ウイルス出現の危険度は低下する。
   
3. 消費者不安に対する配慮
   現在の移動制限(原則として半径30km、防疫措置完了後28日以上)については、家畜伝染病予防法(昭和26年、法律第166号)に基づき鶏間の感染防止のために実施されているとの趣旨は消費者には十分に浸透していない現状にある。
 むしろ、この一層の啓発活動が必要であるとともに、同時にワクチン使用によりウイルスのまん延防止が図られていることが理解されることにより、消費者の不安感増大の懸念は十分に回避される。
   
4. 養鶏業界の経済的損失について
   発生時における多羽数のとう汰、殺処分を主体とする現在の防疫措置は人的にも物的にも大規模な移動制限を伴なうこととなる。このため、埋却措置を含めた、経費面における負担は極めて過大になるとともに、マスコミ報道等による消費者への大きな風評被害をも招来するため、養鶏産業界が被る経済的損失は甚大となる。


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