高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う防疫の再徹底について

15消安第6807号
平成16年3月4日

各都道府県知事 殿
関係団体

農林水産省消費・安全局長

高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う防疫の再徹底について


 高病原性鳥インフルエンザ(以下「本病」という。)については、近年、欧州、北米、アジアの各地域において流行しており、我が国への侵入リスクが高まっていたことから、平成15年9月、専門家からなる本病防疫技術検討会の助言を踏まえ、本病のサーベイランス、発生時の対応措置等について、防疫マニュアルを定めたところである(「高病原性鳥インフルエンザ防疫マニュアルに制定について」平成15年9月17日15消安第1736号)。
 また、平成15年12月には、韓国において本病の発生が認められたことに伴い、国内防疫の強化を図るため、家きんの飼養者、獣医師等の関係者への普及啓発等警戒を呼びかけたところである(「韓国における高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う国内防疫の徹底について」平成15年12月24日15消安第4581号)。
 しかしながら、本年1月、国内において79年ぶりとなる本病の発生が確認されたところである。本病は伝播力が強く、そのまん延を防止するためには、徹底した防疫措置を講じることが極めて重要であることから、国内の発生を受けて、常に本病を疑い、本病を否定できない症例を発見した場合には、死亡家きんの羽数の多少にかかわらず、直ちに家畜保健衛生所に届出を行うよう指導すること、愛玩鶏飼養者等に対しても家きんに準じて適切に指導することなど今後の防疫措置に係る留意点を定め、通知したところである(「我が国における高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う防疫の徹底について」平成16年1月19日15消安第5228号)。
 このような中で、飼養者による早期通報が功を奏し、まん延防止がマニュアルに即して適切に行われるところがある一方で、養鶏業者による通報が行われず、かつ、大量死発生後も鶏卵・鶏の出荷がなされていたことが発覚するなど的確な対応とは言い難い感染例が、確認されたところである。
 アジア地域における本病のまん延状況を踏まえると、我が国における発生のリスクは依然として高いものと考えざるを得ないが、本病のまん延防止に万全を期すためには、早期に発見し、通報するとともに、関係者が密接に連携することにより、的確に防疫措置を講じることが重要である。
 ついては、今後の防疫措置に係る留意点を定めたので、貴職におかれては、対策に遺漏なきよう特段の配慮をお願いする。




1. 飼養者
 
(1)  愛玩鶏への感染も確認されていることに鑑み、野外で飼育される愛玩鳥を含めた家きん(以下「家きん等」という。)について、健康観察、野鳥等の鶏舎への侵入及び給水源への接近の防止、ネズミ、ハエ等の駆除、関係者以外の農場への出入りの制限等を徹底すること。
 特に、現在、感染経路が判明しておらず、本病は、一般に、感染した鳥類又は本病のウイルスに汚染された排泄物、飼料、粉塵、水、ハエ、野鳥、人、飼養管理に必要な機材若しくは車両との接触により感染することから、これら感染原因となり得るものについては、この際、消毒を徹底すること。
   
(2)  農場内に複数の鶏舎を有する場合には、鶏舎又は鶏舎群ごとの飼養管理者の配置及び作業衣、長靴、器具等の交換により、万一発生した場合に備え、鶏舎間での感染を防止する飼養管理の徹底を図ること。
   
(3)  家きん等の導入に当っては、事前に導入元の衛生状況を把握すること。
   
(4)  これまでの3例の発生では突然死を特徴としているが、本病の症状は多様であり、症状のみで本病を否定することは困難であることを再度、周知徹底するとともに、死亡家きん等の羽数の多少にかかわらず、何らかの異常が認められた場合には、常に本病の発生を疑い、直ちに家畜保健衛生所に届出を行うこと。
   
2. 飼養者の組織する団体
   飼養者の組織する団体は、構成員に対し、本病についての知識の普及啓蒙に努めるとともに、1について遵守されるよう指導すること。
   
3. 都道府県
 
(1)  鶏、あひる及びうずらの農場(飼養羽数が1,000羽以上の農場)の飼養者等に対して、別に通知するまでの間、1週間に1回死亡羽数等の状況を、また、本病の可能性を否定できない事態が生じた場合には直ちに報告するよう、家畜伝染病予防法第52条に定める報告徴求(罰則あり)であることを明示して、求めるものとする(別紙様式1参照)。
   
(2)  報告結果等に基づき、本病の発生の疑いが認められる場合等には、必要に応じて農場の立入検査を実施するものとする。
   
(3)  (1)及び(2)については、都道府県は毎週農林水産省に報告するものとし(別記様式2参照)、農林水産省は都道府県ごとに集計したデータを公表するものとする。
   
4. 獣医師及びその組織する団体
 
(1)  獣医師及びその組織する団体は、家きん等の飼養者に対し、本病についての知識の普及啓蒙に努めるとともに、飼養者の組織する団体が行う自衛防疫活動、都道府県が行う防疫活動への協力に努めること。
   
(2)  本病の発生を疑う症例を認識した場合には、直ちに家畜保健衛生所に届出を行うこと。
   
5. 発生を疑う症例を確認した場合及び発生が確認された場合の都道府県の対応
 
(1)  本病の発生を疑う症例を認識した場合には、直ちに、当該家きん等の飼養者に対し、家きん等及び鶏卵の出荷の自粛を要請した上で、病性鑑定を実施するものとする。
   
(2)  家畜保健衛生所における病性鑑定の結果、A型インフルエンザウイルスを疑うウイルスが分離された場合には、県内関係部局間の連携を密にするとともに、正確な状況の把握に努めるとともに、迅速かつ的確に、農林水産省及び関係都道府県へ連絡するものとする。
 また、ウイルス分離に先立ち、異常鶏の発生状況、ウイルス分離以外の補足的検査により本病が強く疑われる場合もこれと同様とする。
   
(3)  独立行政法人農業・生産系特定産業技術研究機構動物衛生研究所における病性鑑定の結果、本病の発生が確認された場合には、迅速に、農林水産省及び関係都道府県へ連絡するとともに、事実関係の公表を行うものとする。
   
(4)  患畜等の決定、移動制限区域の設定等まん延防止のための措置を実施する場合には、農林水産省が中心となって関係都道府県等と密接に連携を図りつつ、防疫措置の円滑かつ確実な実施に努めるものとする。



(別紙様式1、飼養者等 → 家畜保健衛生所)
家畜伝染病予防法第52条に基づく報告徴求命令に対する報告
○月○日

○○農場(○月第○週分報告)
  内 容 備 考
飼養羽数  
死亡羽数  
鳥インフルエンザの可能性を否定できないような
状況の有無
あり
なし
(いずれかに○)
(「あり」の場合はその態様)

注1 飼養羽数の備考の欄には、健康状態についての特記事項を記載すること。
死亡羽数の備考の欄には、通常の死亡率と比較して変動が認められるか、死亡日齢、発生鶏舎等に偏りが認められるか等についての特記事項を記載すること。



(別紙様式2、都道府県 → 農林水産省)
○月○日

○○都道府県(○月第○週分報告)
  内 容 備 考
戸 数  
鳥インフルエンザの可能性を否定できないような
報告があった戸数
(その報告状況)
鳥インフルエンザの可能性を否定できないような
報告がなかった戸数
(その報告状況)


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