高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究について

プレスリリース

平成16年1月23日
農林水産省

高病原性鳥インフルエンザに係る情報提供(第3報) <分離ウイルスの遺伝子解析の実施状況について>


  科学技術振興調整費を活用し、「高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究」を実施することを検討しており、その内容につきお知らせします。なお、本件については、1月29日(木)に開催する総合科学技術会議において正式決定される予定です。



問い合わせ先
農林水産省技術会議事務局 地域研究課

担 当 : 藤村、小泉
代 表 : 03-3502-8111(代表)
    (内線 5184、5189)
直 通 : 03-3591-8734

高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究(案)

1.背景
 2004年1月、我が国において高病原性鳥インフルエンザの発生が79年ぶりに確認された。高病原性鳥インフルエンザは鶏や七面鳥に高致死性の病原性を示し、1997年の香港において初めてH5N1型の人への感染が確認され公衆衛生上の大問題となった。
 今回、我が国で検出された高病原性鳥インフルエンザウイルスの血清亜型もH5N1であり、昨今アジアで発生が確認されているウイスルと血清亜型が同一であるが、その関係は現在のところ不明である。
 このため、感染経路の特定のための疫学解明、病原性解明及び人への感染を未然に防ぐための対策が喫緊の課題となっている。

2.研究の内容及び実施体制
(1) ゲノム疫学研究
分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスのゲノム解析を行い、既知のウイルスとの比較による分子疫学的解析や野生鳥類等の日本への飛来情報等を解析することで、分離ウイルスの起源(由来)を明らかにする。
実施体制: (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所、鳥取大学、(財)自然環境研究センター

(2)

鳥インフルエンザウイルスの病原性解析
分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスの鳥類あるいはほ乳類に対する同・異種宿主間伝播の可能性と病原性を明らかにする。
実施体制: (独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所、北海道大学

(3)

鳥インフルエンザウイルスの人への感染予防
分離された高病原性鳥インフルエンザウイルスに対する早期・迅速診断系の開発及びワクチン開発の研究基盤を確立する。また、各種インフルエンザ情報の知見に基づくヒトへの対応マニュアルの策定を行う。
実施体制: 東京大学医科学研究所、国立感染症研究所、
国立国際医療センター

3.中核研究機関:(独)農業・生物系特定産業技術研究機構 動物衛生研究所

4.所要経費  75,000千円程度

5.科学技術振興調整費で対応する必要性
 我が国で発生した高病原性鳥インフルエンザについて的確なまん延防止を実施するためには、今回分離されたウイルスに関して感染原因の究明など総合的な研究を推進し、この成果を速やかに政策に反映させることが急務であるが、平成15年度の各府省予算での対応は既に執行済みであり、困難である。また、当該研究は、農林水産省の家畜及び厚生労働省のヒトにおけるインフルエンザウイルスに関する知見及び各大学が有する基礎的知見、並びに環境省が有する野生動物に関する知見を活用する等、各府省庁・関係機関が情報の共有化や連携体制の強化を図る等、一体となって取り組む必要がある。
 以上のことから、科学技術振興調整費により緊急に対応し、平成16年度からの本格的な研究や対策につなげることが必要である。


高病原性鳥インフルエンザ対策に関する緊急調査研究(案)

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