鶏卵をめぐる情勢

(1)需給概要
 鶏卵の需給は、これまで食生活の高度化、多様化に対応して着実に増加してきたものの、近年はほぼ横ばいで推移。
 国内の供給量はほぼ需要を満たす水準で推移。

< 鶏卵需給の推移 > (単位:千トン)
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(4-12)
需要量 2,198 2,470 2,659 2,656 2,634 2,649 2,641 2,615 2,631 2,636 2,051
生産量 2,160 2,420 2,549 2,535 2,519 2,529 2,530 2,481 2,481 2,514 1,964
輸入量 39 50 110 121 114 120 110 134 151 122 87
資料:農林水産省「鶏卵流通統計」、財務省「日本貿易統計」
注1:18年度以降速報値。
  2:4年1月より輸入の殻付き卵換算係数を変更。


(2)消費動向
 家計消費は、近年ほぼ横ばい傾向で推移していたが、最近は減少傾向で推移。
 増加傾向で推移していた業務・加工用も7年度以降はほぼ横ばい。
 18年度における消費形態は、家計消費51%、業務・加工用49%。
 一人当たり消費量は世界でも最高の水準。

< 一人1日当たり鶏卵消費量 > (単位:g/日・人、%)
  60 2 7 12 13 14 15 16 17 18 19
(4-1)
家計消費量 30.7 29.7 29.3 28.5 28.8 28.2 27.8 26.2 27.0 27.3 27.2
業務・加工用 16.2 22.2 25.8 26.1 25.2 26.0 25.9 27.1 26.5 26.1  
総消費量 46.9 51.9 55.1 54.6 54.0 54.2 53.7 53.3 53.5 53.4  
/×100 65.5 57.2 53.2 52.2 53.3 52.0 51.8 49.2 50.5 51.12  
資料:総務省「家計調査」、農林水産省「食料需給表」
 注 :11年度以降の業務・加工用及び総消費量の数値は生産局推計。



(3)供給動向
 生産量は、これまで需要の増加に対応して着実に増加してきたものの、近年は、生産資材(配合飼料)価格、鶏卵価格等の影響を受けながら、概ね横ばいで推移。18年度は前年度比1.4%増、19年度(4~12月)は前年同期比4.5%増。
 ひなえ付け羽数は、18年度は前年度比0.7%増、19年度(4~1月)は前年同期比1.3%減。
 輸入量は、国内の鶏卵生産・鶏卵価格の動向、為替レート等の影響を受けながら変動しているが、全需要量の4~5%程度で推移。
 主な輸入相手国は、アメリカ、オランダ、ブラジル等。

< 鶏卵生産量 > (単位:千トン、%)
  60 2 7 12 13 14 15 16 17 18 19
(4-12)
生産量 2,160 2,420 2,549 2,535 2,519 2,529 2,530 2,481 2,483 2,514 1,964
前年度比 100.7 99.9 99.4 99.8 99.4 100.4 100.0 98.0 100.1 101.4 104.5
年 度
平 均
伸び率
56~60
1.6
61~2
2.3
3~7
0.2
8~12
-0.1
9~13
-0.4
10~14
-0.4
11~15
-0.1
12~16
-0.5
13~17
-0.4
14~18
-0.2
 
資料:農林水産省「鶏卵流通統計」
  注:平成18年度以降は概数値。

< ひなえ付け羽数の推移 > (単位:百万羽、%)
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(4-1)
え付け
羽 数
119.6 109.8 105.6 110.6 110.3 112.4 108.2 106.1 109.2 108.4 28.1
前年度比 101.1 98.5 99.4 103.7 99.8 101.9 96.3 98.1 102.9 99.3 98.7
資料:農林水産省「鶏ひなふ化羽数調査」

< 鶏卵等輸入量(殻付き換算) > (単位:千トン、%)
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(4-12)
輸入量 38.6 50.0 103.9 120.7 114.5 119.6 110.5 134.3 151.0 121.5 87.2
前年度比 132.2 111.6 105.4 101.4 94.8 104.5 92.4 121.6 112.4 80.5 93.8
輸入量
(殻付き卵)
0.4 1.7 2.0 2.1 1.2 2.6 1.3 3.8 14.0 3.6 1.6
資料:財務省「日本貿易統計」
 注 :殻付き換算 3年度まで 卵黄粉3倍、全卵粉4倍、液卵1.2倍、卵白1.275倍
  4年度以降 卵黄粉2.2倍、卵黄液1倍、全卵粉4.4倍、全卵液1.1倍、
    卵白粉8.6倍、卵白液1.2倍 



(4)経営状況
 採卵鶏の飼養羽数は、小規模層を中心に毎年減少しており、19年2月1日現在の飼養戸数は3,460戸と前々年比4.2%減少。
 成鶏めす飼養羽数は、11年以降わずかに減少傾向で推移していたが、19年の飼養羽数は143百万羽と前年比4.3%増加。
 一戸当たりの飼養羽数は、一貫して増加しており19年は前年比9.0%増の41,300羽。
 19年における成鶏めす羽数規模5万羽以上層の飼養戸数は664戸(全体シェアの21.0%)、飼養羽数は109百万羽(全体シェアの76.8%)。

< 採卵鶏の飼養動向 >  
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採卵鶏
飼養戸数
千 戸 123.1 86.5 7.3 5.4 4.9 4.7 4.5 4.3 4.1 3.6 3.5
成鶏めす
飼養羽数
百万羽 127.6 137.0 146.6 143.1 140.4 139.2 137.7 137.3 137.2 136.9 142.8
一戸当たり
飼養羽数
千 羽 1.6 1.9 20.1 28.3 28.7 29.5 30.4 31.6 33.5 37.9 41.3
資料:農林水産省「畜産統計」、「家畜の飼養動向」(各年2月1日現在)
 注 :種鶏のみ飼養羽数を除く。
    3~9年は成鶏めす羽数300羽未満、10年以降は成鶏めす羽数1,000羽未満の飼養者を除く。



(5)価格動向
 鶏卵に対する需要はほぼ横ばいで推移しており、かつ、95%を国内で自給しているため、主な価格変動要因は、国内生産量の増減(わずかな生産量の変動が大幅な価格変動につながる)。
 鶏卵価格の変動は、毎年の季節的な需給バランスによる変動(季節変動)と、5~6年を周期とする変動(エッグサイクル)が存在。
 卵価は、12年5月以降は、需要が低迷したこと等から低水準で推移していた。15年度は価格が大きく低迷した反動から、生産者が減羽等に努めたことにより、16年は秋以降、価格が例年より高水準で推移したが、17年度以降、落ち着きを取り戻している。
 我が国における鶏卵の小売価格は、国際的に見ると低い水準。

< 鶏卵価格の推移 > (単位:円/㎏、%)
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(4-2)
農家
販売価格
(前年度比)
267224173171153159130189177175159
115.8 124.2 113.8 93.4 89.5 103.9 81.8 145.4 93.7 98.9 91.9
卸売価格
(前年度比)
279241197185164172140205186184165
115.8 120.5 116.6 92.5 88.6 104.9 81.4 146.4 90.7 98.9 89.7
小売価格
(前年度比)
350344296310300226181219221212209
150.4 119.4 106.9 98.4 96.8 121.0 100.9 86.5 96.8
注1:小売価格は、14年7月よりMサイズ1㎏からLサイズ10個に変更
注2:19年度の農家販売価格は1月までの平均。

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