鶏のQ熱に関する国内実態調査の結果について
15安全研第141号 平成15年5月14日 |
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社団法人 日本養鶏協会 会 長 中須 勇雄 殿 |
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時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 常日頃より当研究所の業務運営につきましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、今般、実施いたしました鶏特定疾病予備調査の結果を御報告致します。 |
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要 約 |
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我が国で飼育されている採卵鶏の中から33道府県の41養鶏場から409羽を抽出し、Coxiella burnetii II相菌に対するIgG抗体保有状況を間接蛍光抗体(IFA)法により調べた。 その結果、被験血清のIFA抗体価は、全て16倍未満であり、抗体陰性と判定された。 以上の成績から、今回の調査対象とした33道府県の41養鶏場から送付された409検体の血清では抗体陽性のものは認められなかった。 |
1. | 調査(試験)目的 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
この調査(試験)は、我が国で飼育されている採卵鶏の中から33道府県の409羽を抽出し、Coxiella burnetiiに対する抗体保有状況を調べる目的で実施した。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2. | 試験材料及び方法 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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3. | 調査結果 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
被験鶏血清のIFA抗体検査結果を表に示す。 被験血清のIFA抗体価は、全て16倍未満であり、IFA抗体陰性と判定された。 |
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4. | 考察 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
我が国で飼育されている採卵鶏について、33道府県の41養鶏場から409羽を抽出して、C.burnetii・相菌に対するIgG抗体保有状況をIFA法により調べた。今回調査した養鶏場から採取された鶏血清のIFA抗体価は、全て16倍未満であり、抗体陰性と判定された。 平井2)によれば、鶏では1,589検体中2%が抗体陽性であったとされている。今回の調査の検体数は、409であり検体数が少ないものの抗体陽性率は0%であった。 C.burnetiiの感染環の第1は、ダニ-野生動物(含む鳥類)-ダニで、第2は、ダニ-家畜-家畜とされており、採卵鶏にC.burnetiiの感染が起こるとすれば、この第2の感染環による場合が多いのではないかと推察される。今回の調査は冬季に行われ、この時期はダニ類の発生や活動が少ないことが、抗体を保有する産卵鶏が認められなかった理由の一つとも考えられる。 今後、ダニ類の発生が多く、その活動も活発な梅雨期から夏期に再調査することにより、鶏のC.burnetiiに対する抗体保有状況をさらに正確に把握できると思われる。 |
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(参考文献) 1)平井克哉:日本獣医師会雑誌、46、541~547(1993) 2)平井克哉:日本獣医師会雑誌、52、77~83(1999) |