NHKテレビ報道内容の適正化に係る要請について

NHK報道局
  藤森 隆行 局長 殿

テレビ報道内容に係る要請


平成20年1月24日

日本鶏卵生産者協会
会  長   梅 原 宏 保 
社団法人 日本養鶏協会
会  長   中 村 光 夫 




テレビ報道内容の適正化に係る要請

 日頃より我が国養鶏産業へのご理解・ご協力を賜わり感謝申し上げます。
 さて、去る1月12・13日の両日の貴局『NHKスペシャル、最強ウイルス「ドラマ"感染爆発"~パンデミック」』の報道内容につきましては、新型インフルエンザに係る驚異に対する危機管理上の視点から特集番組を制作されました趣旨については敬意を表するところであります。
 しかしながら、本病に係る危機感を強調するあまり過大報道となり、内容の一部については養鶏団体からみると極めて不適切な部分があり、一般消費者に対して鶏卵等の安全・安心についての不信感を増幅させかねないとの抗議・批判が本会に寄せられているところであります。
 つきましては、以後の報道におきましては特に下記の表現及び問題点についての配慮及び留意がなされますことを強く要請するものであります。




1."発生源は何だ。養鶏場か?"、"その村には養鶏場はない"との表現について、

 発生想定地域名としての"「与田村」について、標記の表現がなされている。
 このことは、あたかも国内の養鶏場が発生源となりかねないとの印象を一般視聴者に与えている。H5N1型鳥インフルエンザの人感染死の事例は、全て東南アジア等の開発途上国において報告されているものである。
 これは、当該地域一帯における大量の水禽類の存在、多数の生鳥市場(Live bird market)の存在、衛生知識の不足等によって本病発生鳥類及び発症患者との濃密接触等により本病ウイルスの大量吸入によって生じるものである。
 このような生活環境下にはない日本を含めた欧米先進国においてのH5N1型鳥インフルエンザによる人感染死の報告事例は皆無であり、少なくとも養鶏場と一般消費者との接触が生じない生活環境下にある日本と本病の人感染発生と要因分析についての留意がなされていない。


2.新型ウイルス発生に重要な役割を果たす豚及びウイルスの遺伝子再集合(genetic reassortment)についての言及がないこと。

 確かに報道にもある如く、ウイルスの直接的な変異による人感染型への変異の可能性は想定されるところである。
 しかしながら、新型ウイルス発生の主体とされるのは人インフルエンザウイルスと鳥インフルエンザウイルスの豚への同時感染に伴なうウイルス遺伝子の混合により生じる新たな組合せの発生問題である。
 従ってこのような新型ウイルスの発生のリスクが特に高い国は、人間・鳥類・豚が混住する生活環境下にある中国・東南アジア等の諸国である。
 未だ人感染型に変異したインフルエンザウイルスが正式に確認されていない現状下で、先進国の一翼を担う日本において原発となるパンデミック(世界大流行)が発生しかねないとの印象を広く一般消費者に与えることは公共性が極めて高いNHKとしての報道の在り方としては、不適切であると考えられる。



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