要 望 書

農林水産省 消費・安全局
中川 坦 局長 殿

要 望 書


日本鶏卵生産者協会
会 長 梅原宏保
社団法人 日本養鶏協会
会 長 梅原宏保 



鳥インフルエンザ発生被害拡大防止に向けての要望

 我が国養鶏産業の振興につきましては、平素より各段のご支援ご指導を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、ご承知の通り鳥インフルエンザ再発防止対策につきましては、昨年来数次に亘り要望書及び各種会合の場において、行政当局にお願いしてきたところであります。しかし残念ながら、本年6月以降、既に5例9養鶏場において昨年の発生とは異なる型の低毒性鳥インフルエンザ(H)が連続的に確認され、これに伴い該当する養鶏場の殺処分及び半径5㎞の移動制限等の各種対応が講じられているところであります。
 本会としては今回の発生事例が低毒性のため発見が遅れ、既に広域的なまん延・潜在化状態にあることを懸念し、我が国においても1983年米国ペンシルバニア州における発生事例(H、1,700万羽の被害)と同様事態を招来することのないよう、早期摘発を目的に全国一斉サーベイランスを要請し、国としても現在その取組み中であることに感謝申し上げるところであります。
 つきましては、以上の状況等を踏まえ下記の事項につきまして特段のご検討・ご配慮くださいますよう要望致します。





1.サーベイランス検査手法の改善について
現在、各県段階で実施されている検査手法は、3~6割の養鶏農場を抽出してのゲル内沈降反応による検査であるため、判定に48時間と長時間を要するとともに、検出精度も低く、該当県の発表の仕方によっては県内生産者に混乱と不安を招来するものとなっている。
 このため、より正確な検査手法による判定法を推進し、今冬の本病の大規模発生を阻止するためには、先ず全国、全戸、全棟についてエライザー法によるスクリーニング(重点調査県についてはPCR法を併用)を実施し、次にこの陽性反応事例については、確認検査としてのHIテストにより短時間かつ確実な検査手法による早期摘発法による調査方法に切替えることが必要である。
このために必要となる検査抗原の大量の精製・製造が物理的に困難な場合にあっては、民間研究機関への委託生産又は緊急輸入等について早急に検討願いたい。
※ 茨城県下の内田養鶏場の発生事例における検査成績 :ゲル内沈降反応陽性 64/190、HIテスト陽性 102/190


2.移動制限に伴う鶏卵等の搬出制限については、迅速な清浄性確認により24時間以内の出荷再開を可能とすること。
 今般の茨城県下の事例においては、鶏卵等の搬出制限が当初の発生事例においては3~4日間の搬出制限、後発の事例においては例外措置として1日程度の搬出制限と短縮されつつある。
 鶏卵等の搬出制限問題は、養鶏生産者に極めて甚大なる経営被害を及ぼすため、PCR法を主体とする清浄性確認により常態的に24時間以内の搬出制限解除が可能となる手法とするよう検討願いたい。


3.殺処分手当て金及び生産者互助金の早期支払いについて
 家畜伝染病予防法に基づく殺処分手当て金の支払い及び互助金交付認定委員会を経ての生産者互助金の交付には相当の期間を要することが懸念されている。
 両資金は生産者の経営再開には極めて重要な財源となるため早期支払いが可能となるよう配慮願いたい。


4.本病ワクチン備蓄の緊急積増しについて
 今冬の本病の大規模発生への懸念に対応するため、DIVAシステムの可能な優良な本病ワクチンの十分量を予め緊急備蓄を図ることが必要である。(5,000万ドーズ)
 そのためワクチンの緊急輸入と予防的使用についての検討を生産者代表を含めて至急に開始すること。



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