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平成21年度 事業計画

 本年度の養鶏業界における重要事項は前年度に引続き飼料価格の高騰によるコスト高問題と、持続的な鶏卵需給緩和による低卵価問題である。
 併せて、特に重要度を増してきたものにアニマルウエルフェア(動物福祉)問題及び鶏卵公正競争規約の官報告示に伴なう鶏卵公正取引協議会設立への取組みである。
 この他、少なからず重要とすべきものに鳥インフルエンザ対策の視点からの留意が必要となるものに、本年4月下旬以降に突然に国際的な問題となった新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)問題がある。  以上の諸点を踏まえて平成21年度の事業計画について以下のとおり策定する。

1 飼料価格等生産資材対策

 世界的な金融恐慌と、これに伴なう経済変動により、急激な高騰が始まった飼料価格については平成18年秋以降に比べて、現在低下傾向にはあるもののまだ13千円/t以上も高い現状にある。
 飼料代は鶏卵生産コストの約6割を占めるためこの価格の変動及びこれに加えて輸送費等の燃料価格の変動は養鶏経営に極めて大きな影響を与えることとなる。
 このため、これら価格動向を含めた各種関連情報の収集・分析を図り、当該情報の生産者へより迅速な提供に努めていくこととする。
 又、特に当該問題においては配合飼料価格安定基金財源の安定的確保が重要となるため行政等の関係方面に積極的に働きかけていくこととする。
 同様に、現在の養鶏情勢下においては飼料代金支払い等の円滑化を期するため国の家畜飼料特別支援資金が重要度を増していることから、この融資制度の一層の利便性を図るよう国等に働きかけていくこととする。

2 中小養鶏生産者対策

 生産者の大半は中小規模の養鶏生産者であり、この経営の安定化を図るためには特に需給の安定化を図り鶏卵価格の高位平準化を期することが必要となる。
 このため日本鶏卵生産者協会とも連携を確保し、え付け抑制、繰上げとう汰等を推進することにより価格の安定化に努めることとする。
 同様に卵価安定基金の基準価格の経営に及ぼす影響は極めて重要であることから基準価格の改定に当たっては生産者団体としての合理的かつ正当なる影響力を行使していくこととする。
 更に、EUにおいては2012年には従来型ケージによる鶏の飼育の禁止及び米国カリフォルニア州の住民投票における生産者側の敗北等、アニマルウエルフェアを巡る急速な展開に生産者団体としても適切に対応していくことが必要である。
 特に、今後代替措置としての改造ケージ(エンリッチケージ)飼育における1羽当たり飼養面積及び平飼い・放し飼いの実施に伴なう疾病発生問題等は規模の大、中、小、各層の生産者間に大きな影響を与えることとなる。
 このため、平成20年度に(社)畜産技術協会が策定・公表したアニマルウエルフェアのガイドラインを参考に、今後養鶏生産者団体として自主的に作成するガイドラインにおいて我が国の気候風土にも十分留意しつつ、併せて導入時期についての経過措置にも十分配慮した基準の作成に努めることとする。

3 鳥インフルエンザ問題

 高病原性鳥インフルエンザについては平成16年以降の我が国の発生例は全て鶏であった。
 本会の組織改革問題については、全国各地域会合等を通じての意見聴取では、未だ十分なコンセンサスが得られている状況にはない。
 しかし、21年2月以降、愛知県下においてはウズラに大規模な高病原性鳥インフルエンザ(H7N6)の汚染事例が発生するところとなった。
 ウズラは、ウイルスの本来宿主であるカモのウイルスを鶏に感染し易すくする(適合性)という役割を果すことから、今後の本病対策上の重要な要因として養鶏関係者への啓発活動に努めていくこととする。
 本病互助基金については21年度から第4期に入ることとなるが、今回のウズラの本病発生を受け、これを新たに対象家きんに加えることとしたことから、これらを含めての互助基金加入拡大を推進することとする。
 また、本病ワクチンの予防的使用問題については引き続き提案事項として検討を進めていくことする。
 なお、本年4月下旬以降、突然に国際的な騒動となったメキシコ発とされる新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)については連日、テレビ、新聞等のマスコミにより激しく報道され豚肉の消費減を含めた風評被害が懸念される。  WHO(世界保健機関)の警戒水準(6段階)も最初の感染発生発表から1週間の間にフェーズ3→フェーズ4→フェーズ5と急速に展開している。
 汚染源とされる豚は、人間及び鳥類の両インフルエンザウイルスのレセプター(受容体)を有する特別な家畜であり、今後の発生が懸念されるパンデミック(世界的大流行)にも関連づけられている高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)への影響・展開を十分に想定しておく必要があることからこの情報収集・分析を含めて適切に対応していくこととする。

4 鶏卵公正取引協議会の設立

 平成16年度より検討を進めてきた鶏卵の表示に係る公正競争規約案が21年3月26日に公正取引委員会より認定され、翌27日に官報告示されたことから、この規約の運営主体としての鶏卵公正取引協議会を6月を目途に設立させることとする。
 併せて当協議会運営に係る各種規則を定める必要があることから、引続き公正取引委員会と調整し制定していくこととする。
 また、公正競争規約の遵守は今後業界が鶏卵の適正表示を実施していることを消費者等から安定的に評価・信頼を確保していくために必要であることから、本会が中心となり規約及び鶏卵公正取引協議会の適正な運用及び運営に努めていくこととする。

5 本会の組織改革問題

 最近、養鶏における産業構造が急速に展開を続ける状況下において生産に係る主要生産者団体として本会及び日本鶏卵生産者協会が両立していることから、この調整が必要であるとして、これまで組織改革議論が進められてきた。
 しかしながら、本件に係る意見調整及びコンセンサスは未だ十分に得られた状況にはないことから、引続き重要事項として検討を進めていくこととする。
 併せて、現在、国の行革との関係から本会の公益社団法人化についても視野に入れつつこの検討を進めていくこととする。

6 鶏卵の消費促進対策

 鶏卵の消費促進対策については、引続き長期的視野に立脚して継続的に実施していくことが必要である。
 特にコレステロールについての有害情報がマスコミ、広告等を通じて、あまりにも広範かつ長期に亘り流布されてきた実態にある。
 このための対策として米国の学者を招聘しての国際フォーラムを連続的に開催し啓発を行なうことにより一定の成果が得られているところである。
 引続き当該啓発事業を進めることの重要性についてはいささかの変化もないが、本会としての財政的な逼迫状況から、日本鶏卵生産者協会の同事業の実施を側面的に支援していくこととする。
 併せて、中央及び各県段階において実施する鶏卵消費促進関係の各種事業については直接的・間接的に協力・支援することにより成果を期していくこととする。

7 国際養鶏・養豚総合展(IPPS)企画への参画

 本産業展については本年7月に開催することとして、(社)中央畜産会が中心となり、この企画・調整を進めているところである。
 平成16年以降、高病原性鳥インフルエンザの国内発生問題により開催を中断してきたが、養鶏産業関連業界の安定的発展を期するため、防疫対策にも十分留意し成功裡の開催完了を目指して実施していくこととする。

8 養鶏関連情報の提供活動

 養鶏については、他の畜産に比べて個々の生産者による海外情報を含めての情報収集活動が極めて盛んな産業分野である。
 このため、本会としても各種関連情報の収集・分析を行なうとともに、この成果等については本会ホームページ、FAX、日鶏情報等を通じて積極的に実施していくこととする。

9 農政活動

 養鶏業界における各種課題の解決のためには、行政等に対する、いわゆるロビースト活動が重要な役割を果すこととなる
 このため、主として日本鶏卵生産者協会が実施している農政活動については、本会としても引続き可能な範囲で側面的な支援・協力を行なっていくこととする。

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