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平成20年度 事業計画

 現在の養鶏業界は、当面する配合飼料価格高騰問題への対応、鶏卵の需給緩和に伴う低卵価問題が喫緊の課題であるが、鳥インフルエンザ問題についても、緊迫した最近の情勢下にあることから、この取組みも引き続き最重要な課題である。また、前年度に引き続き組織改革問題への取組みも重要課題である。

 併せて従来と同様に中小養鶏生産者対策、鶏卵消費の維持・拡大、鶏卵の公正競争規約の制定、アニマルウェルフェア(動物福祉)問題への取組みも重点課題となる。
 以上の諸点を踏まえて、平成20年度事業計画については以下の通り策定することとする。

1 飼料価格高騰問題

 昨年来のバイオエタノール問題に端を発した飼料価格の異常高騰問題は、かつて経験した短期的な飼料価格高騰問題とは質的にも異なり、国際的なエネルギー政策及び投機問題とも絡み中長期的な課題となってきたことから、また養鶏においては生産費の6割を占める飼料費問題であるため、養鶏産業構造の基本的な見直しまでが求められる課題となっている。
 特にバッファー措置としての飼料価格安定基金については一説には本年6月末には枯渇するとの情報も流され、7月以降の飼料基金財源不足問題から他の畜産を含めての全国的な畜産経営問題にも発展する危険性を孕んでいる。  こうした激変状況下においては、本会としても関係業界と緊密な連携を確保し、現行制度の抜本的な見直しを含めた対策及び当該飼料価格安定対策の財源の安定的確保に向けて国、行政への働きかけを行っていくことが重要となる。  また同様に、生産者としてはコスト上昇分の生産物価格上乗せについての最も有効な手段は需要に見合った鶏卵生産であることから、引続き、日本鶏卵生産者協会とも協力して適正な鶏卵生産を生産者に強く働きかけていくことが必要である。このため、このことについてはこれまで以上に各種会合、広報等を通じてより積極的な働きかけを行うこととする。同時に今後の飼料供給問題の根幹に係る見直しの一環として日本鶏卵生産者協会が推進しているエサ米問題の取組みにも積極的に協力していくこととする。

2 鳥インフルエンザ問題

 平成16年に山口県下で79年ぶりに高病原性鳥インフルエンザが発生して以来、既に7県に及ぶ本病発生をみていることから本病は今後共国内において引き続き発生する可能性のあることが広く認識されつつある現状にある。
 本病は世界的にも拡大傾向にあるが、わが国とは一衣帯水の地にある韓国においてはこれまでになく本年4月にH5N1鳥インフルエンザが発生し、以後全国的な発生となる様相をも呈しつつある。  更に、我が国においても4月下旬以降秋田県十和田湖畔及び北海道別海町の野付半島でへい死した白鳥からH5N1が検出されるに至っている。同様の事例は、世界的にも同じであり、18年1~4月にヨーロッパ各地で見られた鳥インフルエンザウイルスH5N1も白鳥が原因とされている。
 このため、生産者団体としては、生産者に対する的確な情報の提供、バイオセキュリティを中心とする衛生レベルの向上についての啓発活動を進めることとする。また、本病対策としてのワクチンの扱いについては国との調整に基づいて本病対策としての当該ワクチンの合理的な活用方法について引き続き国、行政に対して働きかけを進めていくこととする。
 更に、本病発生に伴う経営面の影響は、発生農場・移動制限地域の生産者のみならず、移動制限地域外の養鶏生産者の流通関係にも大きな影響を及ぼすことから経営被害を最小限にとどめるため、引続き補償対策の一層の充実・強化を働きかけていくこととする。

3 組織改革問題

 現在の養鶏業界においては、鳥インフルエンザ問題、配合飼料価格高騰問題、鶏卵の需給緩和と卵価問題、鶏卵の消費の維持・拡大問題、アニマルウェルフェアへの対応問題、鶏卵の公正競争規約の設定等多くの取組むべき重要課題が山積しており、こうした養鶏情勢に対応するため組織改革が必要とされているところである。
 本会の組織改革問題については、全国各地域会合等を通じての意見聴取では、未だ十分なコンセンサスが得られている状況にはない。
 このため、前年度に引き続き、正副会長会議、理事会、組織対策委員会、地域協議会等を通じて更に議論を深めていくとともに、各県協会会長会議等の開催を通じて更に意見の集約・調整を進め、成案を目指すこととする。  更に、本会組織改革を巡っては、会費賦課の問題もあることから、その在り方についても併せて検討していくこととする。

4 中小養鶏生産者対策

 約30年に亘り行政主導により実施してきた鶏卵の計画生産の廃止に伴う鶏卵の大幅な需給緩和とバイオエタノール問題に端を発した配合飼料価格の上昇は特に中小養鶏生産者に甚大な影響を及ぼしている。
 このため、日本鶏卵生産者協会と協力して現在の飼料価格安定基金の財源問題及び卵価安定基金の制度運用については十分に中小養鶏経営者支援対策となるよう、国等への働きかけを継続していくこととする。
 また、現在進めている鶏卵の公正競争規約の策定においても、特徴あるブランド卵の生産に取組む中小養鶏生産者を支援することに十分留意して進めていくこととする。

5 鶏卵の消費促進対策

 鶏卵の消費促進対策は長期的な視点から継続的に実施することが必要であることから、これに関する各種パンフレットを作成・配布するとともに、各県養鶏協会が行う鶏卵の消費促進に係る各種イベントの開催を支援していくこととする。併せて、前年に引き続き米国鶏卵栄養センター所長D.J.マクナマラ博士を招聘し、国内の医学・栄養学の専門家も加えた国際セミナーを実施する。

6 鶏卵の公正競争規約の制定と公正取引協議会の設立

 ブランド卵の表示を巡っては、平成16年11月に公正取引委員会より鶏卵の公正競争規約の設定に向けての指導文書が養鶏業界に出され、早急な策定が求められているところである。
 このため、現在、これまで調整を進めてきた規約案については公正取引委員会が各省協議を行っている段階にあり、今後は公聴会の開催、パブリックコメントを経て官報告示となる。
 本会は、各種啓発活動を進めるとともに、国産鶏卵公正取引協議会(仮称)を早急に正式発足させ、事務局体制の一層の充実・強化を図ることとする。

7 アニマルウェルフェア(動物福祉)問題

 動物福祉問題では、既にEUにおいては法律により2012年から従来のケージによる鶏の飼育が禁止されることとなっており、米国においては生産者団体(UEP)による自主的な福祉基準を定めて、これを遵守しこのPRに努めているところである。しかしながらカリフォルニア州をはじめとする一部の州では住民投票により鶏のケージ飼育を禁止する動きがでている。
 一方我が国においてはまだ表立った動きは見られる現状にないものの、導入された場合には養鶏経営にも甚大な影響を及ぼすことが懸念されることから、昨年実施したアニマルウェルフェアに関する全国アンケート調査の結果を分析するとともに、内外の情報を収集・分析・提供し、当該制度の導入により我が国養鶏産業に実害を及ぼさないよう努めていくこととする。

8 情報提供活動

 平成13年8月より開始したパソコン・携帯電話(iモード)による本会ホームページを活用しての各種の養鶏関係情報の提供を実施してきたところである。
 今後においても、引続きネットによる情報提供の迅速性・即時性に留意して更に内容の一層の充実・強化に努めていくこととする。
 また、定期的な情報提供としての日鶏情報(隔月発行)についても、活字媒体としての役割にも留意して引き続き養鶏関係者に発信していくこととする。

9 国際養鶏、養豚総合展

 平成16年6月に開催予定であった同展示会は、山口県及び京都府下の高病原性鳥インフルエンザの発生に伴い中止されて以来本イベントの開催が見送られてきたが、以降の本病についての発生状況の理解の進展及び関係者の開催への強い要請も受け、平成21年7月に開催することが、国際養鶏・養豚総合展運営協議会において決定された。
 このため、本会としてもその開催を積極的に支援していくこととする。

10 農政活動の推進

 配合飼料価格の異常高騰、鳥インフルエンザ問題、卵価の低迷、アニマルウェルフェア問題等の養鶏業界における多くの喫緊の重要課題を有していることから、他の農業団体と同様に農政活動の必要性が高まっているところである。
 このため、日本鶏卵生産者協会と連携して本年度においても重要課題の解決に向けての取組みを進めていくこととする。

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