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平成19年度 事業計画

本年度についても前年度に引き続き鳥インフルエンザ問題への取組みが最重要課題となる。  併せて従前と同様に組織改革問題、中小養鶏生産者対策、鶏卵輸入問題、鶏卵消費の維持・拡大、鶏卵の公正競争規約の制定が重点課題となる。  更に、本年度についてはこれに加えてアニマルウエルフェア(動物福祉)問題も新たな重要課題として掲げることが必要となった。  以上の諸点を踏まえて、平成19年度事業計画については以下の通り策定することとする。

1.鳥インフルエンザ問題

 平成16年に山口県下で79年ぶりの高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生以来、茨城県下を中心とした本病(H5N2、弱毒型)を含め、すでに7県に及ぶ発生となり、これまでの発生状況を見る限りほぼ毎年に近いレベルでの本病発生となっている。
 このことから、今後共、本病発生は十分にあり得ることを前提に各種事業への取組みを進めていくことが必要となった。
 これまでの発生事例をみるまでもなく、発生農場に限らず広範囲に移動制限を課せられることから、養鶏関係者にとっては極めて大きな経営被害・影響を受けること、また本病防疫指針には、新たに農場監視プログラムが正式に組み込まれることとなったことから、これも踏まえての取組みが重要となっている。

 このため、本年度における本件については、以下の点に重点をおくこととする。

(1)ワクチンの予防的使用を含めた本病発生防止対策の充実・強化  これまでの発生事例をみるまでもなく、本病発生に伴ない発生農場鶏の殺処分、周辺地域に移動制限が設けられることから、平成16年の初発当時ほどではないものの、マスコミ報道等により少なからず風評被害が発生することとなる。
 更に、本病ウイルスの人感染問題も加わって養鶏生産者の一部には後継者問題・従業員雇用問題にもなりつつある。
 海外における本病発生は従前の常在的な発生国・地域である東南アジア・中国・韓国に留まらず、その範囲は西アジア・ロシア・ヨーロッパ・アフリカにまで及び、この情報はマスコミを通じて広く一般にも知られている実態にある。
 こうした中、海外・国内を問わず優良な本病ワクチンが開発され、かつ海外においてはこの使用により一定の成果も見られている現状にある。
 また本病発生時におけるワクチン使用の在り方については国とのケーススタディを通じて引き続き進めていくこととする。
 しかしながら、生産者団体としての本病対策としてのワクチンの予防的使用についての基本は、発生リスクが高まった時点において予め国・県との間で合意が得られているワクチンの品質・使用場所・使用期間に基づき限定的に使用するものであり、引き続きこのことを踏まえての取組みを進めていくこととする。

(2)被害補償対策の充実・強化  今般の岡山・宮崎両県下で発生した4事例については、特に移動制限期間についての各々の県家畜保健所の取組みの違い等により鶏卵の出荷制限期間等に大きな差が生じ、経営面への影響には大きな違いがみられたとされている。このため、今後の本病発生における同様の問題発生を回避するため、国等とも調整を進めることとする。
 また、本病発生に伴なう経営面への影響としては、発生農場・移動制限地域の生産者にとっては、実態としても従前からの取引先との関係を維持することが極めて困難となることから別途商権問題も発生することになる。  更に養鶏経営に及ぼす影響は、両者に限らず移動制限地域外の養鶏生産者の流通関係にも少なからず影響を及ぼすこととなる。
以上のこと等を踏まえて、引続き国等に是正に向けての働きかけを行うとともに、更には補償対策の一層の充実・強化を図り経営被害の最小化を図ることとする。

 

(3)生産者互助基金の充実・強化  平成16年12月から第2期の生産者互助基金に中途参入・実施し、茨城県等の発生に伴なって生じた第2期における財源不足問題については引続き、コンプライアンス問題を含め受益該当の生産者との調整を進めていくこととする。
 平成18年4月から新たに開始した第3期については、一層の加入促進を図るとともに、交付金支払いについてはこれまでの定額方式から限度額方式に変更となったことから、本病発生が生産者に対して極力不利益とはならないように、最大限の配慮して取組むこととする。

(4)本病発生国情報の収集・分析  鳥インフルエンザ発生は人感染問題に絡めて、マスコミを通じて広範に情報が流布されること。また、各々の発生規模・事例は必ずしも大きくはないが世界的にも相当広範な国・地域での発生にもなりつつある現状にあるため、今後における風評被害を最小化する観点から本病に係る海外情報の収集・分析・提供に努めていくこととする。

2.本会組織改革の推進

 現在の養鶏産業においては、鳥インフルエンザ問題、鶏卵消費の維持・拡大問題、サルモネラ対策、鶏卵の公正競争規約の策定・実施、アニマルウエルフェア(動物福祉)問題等の取組むべき多くの重要課題がある。
 本会の組織改革については、日本鶏卵生産者協会とも連携して検討を進め、既にこれまでの総会資料において提示してきている組織改革案があり、基本的には今後共この趣旨を踏まえた検討が必要である。
 しかしながら、新たに行政改革推進本部事務局から平成20年12月に法律施行となる公益法人制度改革の概要が全ての公益法人に一斉に示され、今後、この方向に沿っての全面的な公益法人の仕組みが変更となることから、併せてこの方向・内容に合致させることに留意しつつ組織改革を進めていくこととする。
 特に会員組織の在り方については、これまでの中央会員団体のみとする組織改革案に一部修正を加え、新たな地域協議会(5~10ヵ所)を会員とする案も加味しつつ検討を進めることとする。

3.鶏卵の消費促進対策と需給安定対策

 鶏卵の価格安定を図るためには、鶏卵需給の安定を期すことが特に重要となる。このためには、引続き生産者は国が示す鶏卵の生産ガイドライン(鶏卵生産指針)を参考に鶏卵の生産に努めていくことが必要となるため、本会も積極的に取り組むこととする。  鶏卵消費に影響を及ぼす要因としては、鳥インフルエンザ問題、サルモネラ食中毒問題、コレステロール問題、輸入卵問題、Q熱問題等多数存在する。  このため、引続き消費者に対して正しい知識を普及・啓発するため、各種の啓発・広報活動を実施していくこととする。

(1) 特に、鳥インフルエンザ問題については、人感染問題を過大視する傾向から誤った情報発信による風評被害を最小限とするための情報提供・啓発活動を積極的に推進することとする。

(2) サルモネラ食中毒問題としては、サルモネラ食中毒の発生時には多くの場合、安易に鶏卵と関連づけられてマスコミ報道がされるため、昨年度実施した消費者及び生産者向けのサルモネラ関係の啓発用パンフレットの内容・趣旨と同様に、この方向に沿っての取組みを進めることとする。

(3) コレステロール問題については、一昨年度から実施している米国鶏卵栄養センター所長、D.J.マクナマラ博士を中心とする国際フォーラムの全国開催等の影響もあり、医学界においても本件についての大きな変化が見られつつある。このため、本年度についても全国5ブロック地域における同様の国際フォーラムを開催・実施し、一層の啓発を推進することとする。

(4) 輸入卵問題については、特に液卵・粉卵・加工卵等の動向及びこの影響等について引続き情報の収集・分析に努めていくこととする。

4.鶏卵に係る公正競争規約の策定と公正取引協議会の設立

 特にブランド卵の表示の適正化については、平成16年11月付けで公正取引委員会からこれに係る公正競争規約の設定を強く求められている。
 このためこれまで既に5次に亘り当該規約案を作成し、公正取引委員会との調整・検討を進めているところであり、早ければ年内にも消費者団体も参加しての公聴会が開催される方向にある。
 しかしながら、一部消費者団体からは本規約案の一層の早期設定を求める動きもあることを踏まえ、更に迅速な設定となるように努めていきたい。

5.中小養鶏生産者対策への取組み

 約30年に亘り行政主導により実施してきた鶏卵の計画生産が平成16年4月に廃止され、以後、生産者の主体的判断による鶏卵生産に移行し現在に至っている。
 このため、計画生産廃止による影響を最も強く受けると予想される中小の養鶏生産者対策が当面する重要な課題となっている。
 従って、今後共、安定的に経営維持を確保・支援を図るためには、鶏卵の価格安定基金制度の果たす役割の重要性が一層高まりつつある。
 このことから、卵価安定基金の在り方については、日本鶏卵生産者協会とも連携して特に中小生産者に対してより有利な運用となるよう、国等への働きかけを続けていくこととする。
 また、現在進めている鶏卵の公正競争規約の策定作業においては、ブランド卵生産において中小生産者問題にも十分に配慮しての制度設計となるよう取組むこととする。
 併せて、日本鶏卵生産者協会とも連携を保ちつつ、鶏卵の認証制度・余剰卵処理対策としての日本版ECI設立に向けての協調・支援を進めることとする。

6.アニマルウエルフェア(動物福祉)対策

 動物福祉問題について既にEUを中心として鶏については、特にケージ飼育を規制する方向に向っていることは養鶏関係者にも広く知られているところである。
 一方、米国は同様の動きが米国内で顕在化することを警戒して、これに先手を打つ形の中で米国独自の基準を設け現在に至っている。
 同様、我が国においても動物福祉問題への検討・取組みが始まり、平成19~20年度中には飼養管理指針の策定・検証が行われる動きにある。
 このため、本会としてはこの導入が現在の養鶏産業に大きな実害を及ぼさない内容・運用となることを基本に、この課題に取組み・対応していくこととする。

7.情報提供活動

 平成13年8月より開始したパソコン・携帯電話(i-モード)による本会ホームページにより養鶏関係の各種情報を提供してきた。
 これまでのホームページへのアクセス状況及び動向からみると、本情報が養鶏関係者・行政・マスコミ・一般消費者にも広く利用されていることが推察されることから、引続き内容の充実及びこの迅速なる提供に努めていくこととする。

8.農政活動の推進

 鳥インフルエンザ発生問題を契機に農政活動の必要性が叫ばれた。  このため、本年度についても、各種の養鶏関係の重要課題解決に向けての取組みを進めていくこととする。

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