新鮮卵
透き通っているはずの卵白が、なんだか白く濁っていて不透明なので、おかしいと感じたことはありますか。その卵、卵黄はこんもりと丸く、卵白も濃厚なものではありませんか。実の所、その白濁の正体は新鮮卵に特有の卵白中に溶け込んでいる二酸化炭素なのです。産まれたばかりの卵には約55mgの二酸化炭素が含まれていて、それは殻の内外の二酸化炭素濃度差により時間の経過とともに外部へ拡散していきます。したがって、卵白が白濁している卵は新鮮な卵であり、卵白が透き通った卵はやや古い卵といえます。
卵中の二酸化炭素が失われる量は、温度、時間および周囲の気圧によるといわれており、冷蔵庫からとりだした直後の卵で卵白の白濁を認めることは多いと思われますが、冷却自体のよる濁りではありません。洗卵処理による影響は、温水を用いることによって内部膨張がはかられて一時的に二酸化炭素の散逸が著しくなることの方が有力ですし、また、卵殻色は卵白の色には関係しません。なお、孵化のためには酸素も殻の内外のガス濃度差により卵内に運ばれる仕組みになっています。
卵中の二酸化炭素が失われるのにつれて、卵白pHは8をやや下回る状態から9以上になりますが、このpHの変化に伴って濃厚卵白の水溶化が進行します。そこで、新鮮時に卵殻の気孔をふさいで二酸化炭素を内部に閉じ込めておく、オイルコーティングという鮮度保持技術もあります。