卵殻色素
卵を割ると白色、褐色あるいは赤褐色の肉様物質が卵白中に浮遊していたり、カラザにからみついていることがあります。この物質、肉斑(ミートスッポット)といわれるもので、古くは血液のヘモグロビンが体温によって肉様に変化したものと考えられていましたが、現在では肉斑と血斑は別の物質であることが定説となっています。すなわち、肉斑は卵殻色素の粒子が集合したものであって、卵殻色素のプロトポルフィリンによる蛍光性を示しますが、血斑には蛍光性がないことによります。しかし、中には血液が変化して肉様にみえたり、また卵黄表面の膜が集まったものに色素が沈着して肉斑を形成している、といったものもあると思われます。
有色卵においてはその卵殻色素により肉斑混入卵は全体の約30%、つまり3個に1個の割合で肉斑が発見されます。これに対し、白色卵では1~3%と肉斑の出現率は低く、その色は白色を示すものが大部分です。肉斑の出現にはある程度の遺伝的要因が示唆されており、また、鶏の加齢、病気などによる増加も知られています。