卵白のよじれたもの
卵黄の縁から殻の方にのびている白い紐状のものはよく「卵の目」といわれていますが、ひよこに発育するのは卵黄の上部中央に位置する黄色味のやや退色した円形状の胚盤なので、ひよこの目とはまったく無関係のものです。白い紐はカラザとよばれる稠密な卵白つまり蛋白質であり、鶏体内において卵が形成される過程をたどってみますと、卵黄に卵白が付着した後、全体が回転しつつ卵管を下降していく際卵黄は回転しないで卵白のみが回転してよじれたもので、溶菌性酵素のリゾチームを大量に含んでいます。卵黄を包むカラザ状卵白は卵黄の左右から卵の長径両端方向にのびて濃厚卵白の中に入りこみ、カラザを形成して内水様卵白の中に卵黄を支える役割をはたしています。卵の鋭端へ向かうカラザはやや長くて太く2本の紐が互いに左巻きによじれ合い、鈍端側には1本の紐が右巻きにねじれた状態になっています。卵の方向を変えても卵黄は自由に回ることができ、卵黄に比べて比重の軽い胚盤が常に上方に位置するような仕組みになっています。
なお、卵に含まれる成分のうち炭水化物は100gの卵黄中0.8g、卵白中0.9gの糖質のみであり、繊維は卵に存在しませんのであしからず。