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コレステロールは、動物だけに存在する脂肪の一種で、細胞膜の主要成分の一つです。私たちの体内に100〜150gあり、とかくコレステロールは悪者扱いされがちですが、実は次のように、健康を保つうえで多くの重要な働きをしているのです。
1. からだの細胞膜の主成分であり、脳細胞の刺激を伝える神経線維の成分である。
2. 若さを保つ性ホルモンや副腎皮質ホルモンなどさまざまなホルモンの素となる。
3. カルシウムの吸収率を上昇させるビタミンDの原料になる。
4. 胆汁酸に変化して脂肪の消化を助ける。
5. 不足すると、いろいろな感染症や、脳卒中にかかりやすくなる。
 
 食べ物に含まれるコレステロールは、からだに入ると小腸で吸収され、肝臓に運ばれます。肝臓は必要なコレステロール量を判断し、足りない分は自ら合成します。血液中のコレステロールのうち、4分の1が食べ物から、4分の3が肝臓で合成されます。
 そこで、食べ物からとるコレステロールが多くなったときでも、肝臓が合成する量を減らし、いつも一定量に保つように調節されているので、すぐに健康に悪影響を及ぼす心配はありません。

 
 
オボムチンはコレステロールを体外へ排泄する頼もしさ。
オボムチンは、卵白たんぱく質の一種であり、卵白たんぱく質の約3.5%を占めています。2002年3月、日本畜産学会で発表された研究論文によると、このオボムチンには、体内のコレステロールを低下させる作用があることが発見されたのです。
 通常、摂取されたコレステロールは小腸で吸収されますが、卵白を食べるとオボムチンが小腸の入口でコレステロールをキャッチします。体内に吸収するのを包み込むかたちで阻害し、そのまま体外へ排泄させる作用があります。

シスチンやレシチンもコレステロール低下作用に強力パワー。
  さらに、研究の結果、卵白は血中コレステロール、特に悪玉コレステロールを下げる作用があることが明らかになっています。それは卵白に含まれるアミノ酸シスチンの効果ではないかといわれています。
 卵黄に含まれるレシチンという脂肪酸にも、コレステロールを低下させる作用があります。レシチンは細胞膜に付着したコレステロールを分解してくれる酵素を活性化させます。その結果、体内に蓄積されていたコレステロールの分解が促され、コレステロール値が低下するのです。
 
 
 
 たまごとコレステロールの関係を、次の5人を対象に実験してみました。
 実験の前に、血中コレステロール値を測定すると、5人中4人が基準以上の高コレステロールでした。

■たまご負荷実験
実験前のコレステロール値
195 242 305 249 233
基準値 130〜219M/Q

実験後のコレステロール値
203 241 310 239 219
(東海大学医学部内科助教授 本間 康彦)

 実験は、1日にたまご3個を2週間、普段の食事以外に、自由な調理法で食べ続けてもらいました。2週間後、再びコレステロール値を測ってみると、上表でおわかりのように、ほとんど変化はなかったのです。
 この実験によって、食べ物からコレステロールを多くとったからといって、必ずしもコレステロールが上がるわけではないことがわかります。それは、常に一定量になるように肝臓が調節していることと、たまご自体にコレステロールを低下させる成分が含まれているからなのです。
 ただし、健康診断などで高脂血症を指摘されている人や、高脂血症の治療を受けている人は、医師の指示に従って、たまごを摂取してください。
 
コレステロールと同じように、小腸で吸収され、肝臓に運ばれるものにミリスチン酸という脂肪酸があります。ミリスチン酸は、必要以上にコレステロールを合成させ、大量に血液中に流出させます。この時点では、細胞膜の合成などに使われ悪影響はないのですが、余ったコレステロールが肝臓に戻るのをミリスチン酸が閉め出してしまいます。これが、悪玉コレステロールとなり、次第に血中コレステロールがあふれ、長い間には動脈硬化の原因となります。
 
 たまごは、確かにコレステロールの多い食品ですが、実験で証明されているように、それが血中コレステロールを上昇させるわけではありません。
 下表でお分かりのように、たまごにはこの問題のミリスチン酸はほとんど含まれていません。そのうえ、卵白にはオボムチンやシスチン、卵黄にはレシチンと、コレステロールを低下させる成分が勢揃いしているのです。

■たまごのコレステロール量とミリスチン酸量 (mg/100g)
  たまご 牛 肉 牛乳
コレステロール量 420
72 12
ミリスチン酸量 30 640 370
(五訂日本食品標準成分表)
 
 たまごを調理するときには、ミリスチン酸の少ない植物性の油で調理すれば、コレステロールの心配はありません。
 それでもミリスチン酸を多く含む食べ物と、たまごを食べ合わせるときには、コレステロールの排泄を促してくれる食物繊維をたくさんとることが大切です。たまごそのものは、血中コレステロールを上げる悪者ではないのです。

 
 
国名 合計
日本 320
フランス 266
アメリカ 256
ドイツ 224
カナダ 181
イギリス 170
元気の条件は、「毎日のたまご」。

■世界の年間1人当たり鶏卵消費量(単位:個)


左表によると、日本人は1人あたり1日に約1個のたまごを食べており、これは世界の主要国のうち第1位。日本人が世界一の長寿国であることと大いに関係あるでしょう。